2025年7月24日、ブルーイノベーションは、奈良市大宮町2丁目の下水道管渠において、屋内点検用球体ドローン「ELIOS 3」(Flyability社製)を活用し、公共下水道改築工事の施工前調査を実施したことを発表した。
調査当日は、奈良市・奈良県の行政関係者約15人が参加し、ドローンによる安全かつ効率的な下水道点検の有効性を確認した。
下水道管内は、常時流水があることに加え、硫化水素の発生や下水汚泥の堆積により作業員の立ち入りが困難なケースも多く、点検作業の安全性や効率性に大きな課題があった。
今回の取り組みは、2025年1月に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受け、国土交通省が全国の自治体に対して要請した下水道施設の緊急調査を背景としている。調査におけるデジタル技術の活用が求められる中、将来の活用に向けた検証の一環として実施した。
調査の概要
この調査では、幅約2m・高さ約1mの四角形断面を持つ全長約40mの下水道管渠内部において、屋内点検用球体ドローンELIOS 3を活用した。管渠内の下部には実際に下水が流れており、GPS信号の届かない閉鎖空間でも独自のSLAM技術により安定的に飛行した。
取得した可視画像と空間情報はリアルタイムで3D化され、その様子を現地モニター上で行政関係者も確認した。飛行と撮影に要した時間は約15分で、従来の人力による点検と比較して大幅な時間短縮が可能であることがわかった。
取得データは位置情報と連動して記録され、専用解析ソフト「Inspector」で処理することで、点検経路や異常箇所を3Dマップ上で可視化し、作業後の報告書作成やデータ整理を効率化する。
