タカミヤは、建ロボテックと共同開発したパイプレール運搬ロボット「TLEVER(トレバー)」のレンタル提供を2025年7月より開始した。建設現場の足場などの資材運搬を自動化することで、10人分の運搬能力を発揮し、工数を1/3に削減する。
人材不足と重労働は、建設業界全体にとって喫緊の課題となっている。特に、足場作業は、約70%が部材の運搬に充てられている(※1)。
【人力運搬の課題】
- 過酷な労働環境
天井が低い場所や長距離を手運びすることによる作業員の身体的負担。 - 非効率な作業
部材の形状が多様で重いため、一度に運べる量が限られ、往復回数が増加。 - 潜在的な事故リスク
運搬中の接触事故や、足元が見えにくいことによる転倒、資材落下の危険性。
※1 タカミヤ調べ、2025年7月時点、日本国内の足場作業での調査。
TLEVERは、現場導入のしやすさと高い実用性を両立。即戦力となることを目指し、シンプルでパワフルな機能性を追求した。
【主な特徴】
- 軽量設計で簡単設置
1台28kgと軽量なため、重機を使わず人力で設置可能。導入ハードルを大幅に下げ、誰でもすぐに運用を開始できる。 - 運搬能力
最大500kgの資材を一度に積載可能。実働8時間持続する大容量バッテリーを搭載し、長時間の連続稼働に対応する。 - 長距離・悪路も安定走行
独自開発のパイプレール上を走行するため、ぬかるみや凹凸のある不整地でも安定した長距離運搬を実現。 - 3段階の安全対策
障害物を検知する3段階の安全センサーを搭載し、作業員と周辺環境の安全を最優先に確保。
タカミヤによる実証実験では、TLEVER1セットで、作業員約10人分に相当する資材量を運搬した(※2)。これにより、作業員は本来の専門業務に集中でき、チーム全体の生産性を向上させる。実際の橋脚補修工事でのブラケット運搬作業では、従来の方法と比較して工数を1/3に削減した。
特に、クレーンが届かない場所や、トラックなどの車両が進入できない狭い搬入路、天井が低いトンネル、橋梁の下部空間、高所など危険を伴う場所、ぬかるみや鉄筋が入り組んだ不整地での作業に大きな効果が期待される。
今後タカミヤは、TLEVERのレンタル提供を通じて得た稼働時間や移動距離といった実運用データを蓄積・分析し、顧客の現場ごとに最適化した工程管理や、効率化のソリューションを提案するとしている。
※2 資材を運搬する作業員は、1人あたり20~30kgを、50m/分で運ぶ能力があると言われている。TLEVERは、最大500kgの資材を、21.6m/分で運ぶことができるため、10人分の作業量に匹敵する。(タカミヤ調べ)
TLEVERの基本仕様
| 搬送可能荷重 | 500kg |
| 搬送スピード | 1.3km/h |
| 登坂能力 | 5%(2.8度) |
| 本体重量 | 28kg(1台) |
| 外形寸法(cm) | L76(脱着式接触センサー含まず)×W61×H38(パトライト含む) |
| 電源 | リン酸鉄リチウムバッテリー 100V(充電時間:6~7時間) |
| 安全機能 | ・前後上部接触停止機能 ・前後下部接触停止機能 ・転倒時停止機能 ・小雨での運用が可能な防滴仕様 |
※仕様は予告なく変更される場合がある。
TLEVERは、タカミヤが提供する建設ソリューション群「タカミヤプラットフォーム」の一環。同プラットフォームは、足場等の仮設機材の調達・運用マーケットプレイス提供やデジタル設計支援等のデジタル化から、鳶職人に特化した無料求人サイトまで、多岐にわたるソリューションを統合している。
