2025年5月29日、KDDIとKDDIスマートドローンは、東京電力リニューアブルパワー(以下、東電RP)が運営する葛野川ダム(山梨県大月市)において、Starlinkを活用したauエリア構築ソリューション「Satellite Mobile Link」と、Skydioの自動充電ポート付きドローン「Skydio Dock for X10」を活用し、地震発生後を想定した臨時点検(※1)実証を行ったことを発表した。
実証では、KDDIが葛野川ダムの水門上部にStarlinkと4G LTEアンテナを一体にした架台型のSatellite Mobile Linkで構築した通信環境において、Skydio Dock for X10による遠隔飛行を実施した。
米国製ドローン「Skydio Dock for X10」の設置により、ドローンの自動充電および遠隔地からの飛行操作やリアルタイムでの映像確認を実現。ドローンで撮影した映像や写真はインターネットを経由してクラウドに格納されるため、データの効率的な取得と管理が容易になった。
その結果、地震発生後の一次点検業務の効率化や、ダムまでの移動経路の安全確保が困難な状況における作業員のリスク軽減、二次点検業務の時間短縮、平時の湖岸巡視業務にも活用できることを確認した。
※1 ダムなどにおける地震発生後の臨時点検。堤高15m以上のダムの地震観測点において、震度4以上の地震が発生、もしくは東電RPがダムに設置した地震計で25gal以上の加速度を計測した場合、昼夜を問わずダムの安全性を確認するための臨時点検が必要。
多くのダムは山間部や人里離れた場所に位置しており、ダム周辺には地形が複雑な場所が多く、特に地震などの災害時にはダムまでの移動が非常に困難になる。道路の損傷や崩壊など、安全状況が不明であることが原因で到達できない可能性がある。また、こうした地形的な要因により通信環境の構築も容易ではない。山間部ではインフラが未整備である場合が多く、安定した通信を確保することが課題となる。
地震後のダム一次点検では、こうした環境下で作業員が現場へ行く必要がある。しかし、移動には多くの時間を要し、道路の安全状況も不明であるため、人身災害の発生リスクを想定するとすべての点検箇所を目視で確認することは困難であった。
実証について
- 自動航行機能検証
GPSを用いて飛行するルートと、Visual SLAM(自己位置推定技術)機能を用いた飛行ルートの2つの自動飛行ルートを作成し、Skydio Dock for X10による遠隔での自動運航が可能であることを確認。 - 自動飛行時の操作介入検証
Skydio Dock for X10を経由した遠隔による操作介入の操作性に問題がないことを確認。 - 機体の自動充電検証
Skydio Dock for X10にて問題なく機体への自動充電が可能であることを確認。 - ダム堤体点検飛行検証
Skydio Dock for X10からGPS精度が悪いダム提体においてもVisual SLAM機能を活用して安定した飛行が可能であることを確認。