2025年4月10日、Terra Drone(以下、テラドローン)は、同社子会社でインドネシアに拠点を置くTerra Drone Indonesiaを通じてインドネシア最大級(※1)のパーム農園にドローン監視システムを導入したと発表した。

 これにより、従来課題とされていたパーム農園の外縁部からの不法侵入や果実の盗難などに対してセキュリティを強化し、安全性リスクの軽減を図る。

※1 30 World’s Largest Palm Oil Companies From indonesia(The Sciece Agriculture、2025年1月)

写真:パーム農園の上を飛行するドローン
TS-M120ドローンが飛行する様子

 広大なパーム農園全体を人的にパトロールするには、多くの人員やコストが必要となる。特にパーム農園の外縁部は農園の中心部から離れており、アクセスが困難であることに加え、森林や密集した植生に隣接し見通しが悪いことから、警備が手薄になりがちである。そのため、パーム農園への不法侵入やパーム油の原料である果実の房の盗難などが発生し、パーム農園の生産性低下を引き起こすことが課題となっていた。

 テラドローンはパーム農園の外縁部における警備体制の強化を目的として、監視機能を備えたTS-M120ドローンを導入。高解像度カメラと人感センサーを搭載し、不審な動きをリアルタイムで監視する。ドローンは自動離着陸・飛行が可能で、パイロットは地上管制ステーション(GCS)からその運航を監視する。これにより、遠隔地に人員を配置することなくリアルタイムで状況を把握することができる。

実施内容

 プロジェクトは、インドネシアの大手財閥グループ傘下で、パーム油の栽培から食品・燃料の生産までを一貫して手がける総合アグリビジネスカンパニーが運営するパーム農園において、同社とテラドローンが協業するかたちで実施した。対象地域は、リアウ州、中部カリマンタン州、南スマトラ州。

 プロジェクトには、上空からパーム農園全体を監視が可能なTS-M120ドローンを採用。同機は1回のフライト(60分)で最大3,000ヘクタール(東京ドーム約640個分)を監視し、地上管制ステーション(GCS)から最大約10km離れても飛行位置や速度などの飛行データをリアルタイムで送信する。搭載している高解像度カメラと人感センサーを通じて、薄暗い環境や草木が生い茂った場所でも安定した監視を実現する。

 テラドローンは、パーム農園にドローン本体、パイロット、監視レポートを提供。パイロットは、パーム農園の管理部門と連携し、ドローン巡回中に異常を探知した場合は即座に農園のセキュリティ部門へ報告する。これにより不法侵入や果実の盗難など潜在的なリスクの早期発見と対処が可能となり、農園全体の安全性を強化する。この体制により、大規模農園の外縁部における警備体制が大幅に向上した。

 今後テラドローンは、パーム農園全体の管理効率化と持続可能性の向上を目指すとしている。

地図に示された飛行ルート・現在位置、ドローンが撮影した画像
TS-M120ドローンの監視画面
TS-M120ドローンの解説動画(Terra Agri YouTubeチャンネル)