2025年4月4日、日本ドローンビジネスサポート協会は、岡山県笠岡市においてドローンのレベル3.5飛行による危険物輸送を実施したことを発表した。同事業は、MASCのドローン部会が行った社会実装試験を支援したものとなる。

写真:飛行するドローン
写真:遠くを飛行するドローン
白石島から自動飛行で帰還するドローン(中央やや左、山間部上空)

 近年、離島地域における持続可能な物流システムの構築が社会的課題となっている。人口減少や高齢化による輸送需要の変化、海上輸送における人手不足、災害時の迅速な物資輸送など、さまざまな課題が顕在化している。

 こうした課題に対し、既存の空港関連施設をドローンの離着陸拠点として活用することで、効率的かつ持続可能な物流ネットワークの構築を目指す。今回の実装実験は、その実現可能性を検証するもので、将来的には今回構築するルートが空飛ぶクルマの飛行ルートとして活用されることを視野に入れている。

写真:Hマークの中央で待機するドローン
白石島ヘリポート

実装実験の詳細

 実験では、笠岡ふれあい空港から白石島ヘリポートまでの約9kmの海上区間において、大型ドローン「DJI FlyCart 30」による物資輸送を実施した。

【機体概要】

機体重量65kg
サイズ2800×3085×947mm
最大飛行距離16km
最大飛行時間18分
写真:ドローンから荷物を取り出すスタッフ
白石島で荷物を受け取る様子

 今回の飛行では、今後想定される多様な輸送ニーズや災害時に対応するため、危険物に指定されているポータブル電源を輸送した。厳格な安全基準のもとで専用の防火梱包を施し、輸送時の安全性を確保した。電源と共に衛星通信機器(Starlink)を輸送することで、災害時の情報不足への対応を想定した。

【運航方式】

  • レベル3.5による補助者なし目視外飛行
     従来の有人監視型の運航方式から一歩進んだ、より自律的な運航。
  • 遠隔操作による完全自動離着陸
     往復の離着陸操作を全てパソコンからの遠隔操作で実施し、将来的な完全自動運航システムの基盤となる技術を検証する。
  • 上空SIMによる安定した通信環境の確保
     上空通信技術を活用することで、安全で確実な機体制御を実現する。
現地付近の航空写真に示された飛行ルート
飛行計画ルート

【実装実験 概要】

日時2025年2月22日(土)当初実施日(荒天のため延期)
2025年2月23日(日)実施
場所岡山県笠岡市
笠岡ふれあい空港〜白石島ヘリポート間(約9km)
協力笠岡市
瀬戸内エンジニアリング
DronePartner's
MITINAS
現地付近の航空写真に示された飛行ルートなどの情報、ドローンからの映像
飛行状況を監視

 今後、実験結果を分析し、安全性や効率性の向上に向けた課題抽出を行うとともに、実用化に向けたロードマップの策定を進める。将来的には、より大型の無操縦者航空機の運航ルートとしての活用も視野に入れており、離島地域における新たな物流インフラの構築を目指すとしている。