トルビズオンは、2025年3月20日、福岡市西区玄界島で実施された大規模防災訓練において、ドローンによる通信機器Starlinkの輸送と通信復旧支援の実証を行った。
この訓練は、2005年3月20日に発生した福岡県西方沖地震から20年の節目にあたる日に実施されたもので、被害の大きかった離島・玄界島の教訓を次世代に継承し、防災力を向上させることを目的としている。陸上自衛隊、警察、消防、通信会社、地元住民などが参加し、関係機関が連携するかたちで多岐にわたる訓練を実施した。
トルビズオンは、DJI製の大型物流ドローン「FlyCart 30」を活用して衛星通信機器を輸送。福岡市本土側から玄界島まで海上約3.8kmの距離を飛行させた。地震と津波により通信が途絶したという想定のもと、SpaceXの衛星通信システムStarlink端末を搭載し、島内に着陸・設置するまでの一連の手順を検証した。
現地では住民代表が端末を受け取り、数分で島内と外部のインターネット接続を確立。地上インフラが損傷した状況下でも、島民が通信手段を迅速に回復できる実効性を確認した。
【使用機材】
- NTT-AT Nomad(Wi-Fi通信パッケージ)1式
- ミライト DX-Wi-Fi(Wi-Fi通信パッケージ)1式
- docomo Starlink 1式
- トルビズオン Starlink(小型)1式
- 日本無線 NTG-2502(25GHz帯小電力データ通信装置)1式
リアル映像コミュニケーションシステムを利用して訓練の状況等を中継。
実証に使用したFlyCart 30は、最大積載40kg、航続距離16km(満載時)、最大飛行時間18分という高い運搬性能を持つ大型ドローンで、重量のある通信機器の運搬にも対応する。すでに、福岡県、佐賀県の防災訓練において飲料水やAEDの輸送実績がある。
今回の訓練では、事前にドローンによる「空の道」を構築することで、船舶やヘリの使用が難しい災害直後においてもライフラインの確保が可能であることが示された。
玄界島で実施したレベル3.5飛行による離島への長距離ドローン搬送では、安全性を担保するため、docomo skyのLTE上空利用プランを活用し、遠隔地への映像伝送により常時監視を実施した。
今回の防災訓練では、ドローン物流、衛星インターネット、通信キャリアの連携により、孤立した地域でも「運ぶ・つなぐ・伝える」のすべてを短時間で実現する可能性を確認した。
【今回の訓練による防災効果】
- 通信途絶の早期解消
Starlink端末の迅速な搬送と設置により、島の通信ブラックアウト期間を大幅に短縮。安否確認や119番通報が迅速化され、災害時の救命率向上が期待される。 - 初動対応の効率化
ドローン映像伝送により指揮所と現場がリアルタイム連携。被害状況の即時把握と物資優先度判断の最適化を実現。 - 住民の安心感向上
技術支援とともに、住民がドローンからの荷物受け取りやStarlink設営を体験することで、防災リテラシーと主体的な備えの意識が高まった。
