2025年3月27日、Terra Drone(以下、テラドローン)は、BIM/CIM配筋モデル(※1)と2次元図面が連動した自社開発ツールの販売を開始した。
この製品は、設計図面作成に必要なデータを入力することで、3次元モデルと2次元図面の双方の同時生成・修正が可能。同社の独自技術により、さまざまな形状の構造物に対応するほか、AutoCAD(※2)に拡張機能として追加することができる。コンクリート工事における設計や施工の生産性向上を支援する。
※1 建築・土木分野において、建物やインフラの3次元モデルを活用して設計・施行・管理の効率化を図る手法であるBIM/CIM技術を用いて、鉄筋配置を3次元で可視化したモデル。
※2 Autodesk社が開発した、コンピュータ上で設計図や図面を作成・編集するための設計支援ツール(CADソフト)。
土木・建築分野では、発注者への納品時に2次元図面が多く用いられているが、BIM/CIMモデルの活用も徐々に広がっている。テラドローンは測量事業において、3次元データを活用したICT舗装工(修繕工)の支援やBIM/CIM作成サービスを展開しており、近年他工種にもサービスを拡大している。
コンクリート工事は、2次元の配筋図(※3)だけでは複雑で構造物の完成イメージを把握するのが難しい場合があるため、BIM/CIM配筋モデルの導入が有効であると考えられている。しかし、2次元図面を作成した後にBIM/CIM配筋モデルを別途作成し、両者の整合性を確認する必要があり、その過程で以下のような課題が発生している。
1. 作業負担の増加
計画に変更があった場合、はじめに2次元図面の修正を行い、それを参照しながらBIM/CIM配筋モデルの修正をする必要があり、手戻りの頻発により作業負担が増加する。
2. 建設資材発注時の人的ミス
鉄筋コンクリート工事に必要な鉄筋の数量計算は手作業で行うことが多く、数え間違いなどの人的ミスが発生しやすいため、多重の確認作業が発生する。
3. BIM/CIM配筋モデル作成における精度のばらつき
図面作成作業者がBIM/CIM配筋モデルの作成に不慣れな場合、その成果物の精度にばらつきが生じ、現場作業に影響する可能性がある。
テラドローンが今回販売する製品は、ゼネコンで施工支援および設計施工案件を担当し、その後設計事務所でCIMモデル作成を手がけたエンジニアが開発を主導しており、実用性の高いBIM/CIM配筋モデルと2次元図面の互換性を備えている。
※3 構造物の中で使用される鉄筋の配置などを示した2次元図面。
製品詳細
データを入力するだけで、BIM/CIM配筋モデルと2次元図面を連動させ、同時に作成・修正することが可能。テラドローンの独自技術により、ボックスカルバートや橋脚をはじめとしたさまざまな構造物に対応する。AutoCADやAutoCADと互換性のあるソフトにアドオン機能として追加・実装することで、使い慣れた環境を変えることなく円滑に導入できる。
<特長>
1. BIM/CIM配筋モデルと2次元図面の同時生成・修正
設計図面の作成に必要なデータを入力するだけで、BIM/CIM配筋モデルと2次元図面が同時に生成される。BIM/CIM配筋モデルと2次元図面の双方が連動しているため、一方を修正すると自動的にもう一方にも修正内容が反映され、複数の設計図を手作業で修正する必要がない。ボックスカルバートや橋脚など複数形状の構造物にも対応する。
2. 構造計算に基づいた、鉄筋配置の自動算出による作業精度の向上
BIM/CIM配筋モデルから鉄筋数量表と鉄筋加工図を自動作成することで、2次元図面作成工数を削減。作業によるカウントミスを防ぎ、作業精度を向上させる。
3. AutoCADへの拡張機能としての追加(2次元ソフトとのシームレスな操作)
AutoCAD上で操作ができるため、建築・機械設計・土木など幅広い分野の2次元図面作成者の学習負担を軽減しながら導入が可能。