北海道更別村、SocialKnowledgeBank、長大、Hakobotの4者は、2025年1月30日から2月6日の5日間、人手不足などの輸送・配送の課題解決のため、低速・小型の自動配送ロボットを使い「出前する」実証実験を行った。

 実証実験には、四輪駆動四輪操舵の自動配送ロボットを独自に設計・開発するHakobotのロボットを活用。2024年の実証では同型のロボットを使いノーマルタイヤで走行実験を実施したが、スタックやスリップが多発。今回はオフロードタイヤを装着し、さまざまな路面環境下で実証実験を行った。

写真:雪道を走行するロボット
雪道の歩道を走行する低速・小型の自動配送ロボット

実証の概要

 2025年1月30日から2月6日(土日、悪天候日を除く)、更別村本通り商店街から更別村役場までの約300mを走行ルートとして、飲食店の料理の出前を行った。使用機体は、Hakobotのオフロード仕様の自動配送ロボット。「歩道走行型ロボットの公道実証実験に係る道路使用許可基準」(2023年4月警察庁)に基づく走行方法で実施した。評価内容は、自動走行ルート設定、さまざまな路面環境下での走行性など。

 2024年3月に試験的にノーマルタイヤで雪道走行テストを実施し、走破するために十分なスペックであることを確認しており、今回の試験走行ではホイール部分をカスタマイズし、インホイールモーター、四輪駆動、オフロードタイヤという雪道仕様で実証実験を行った。

写真:ロボットのタイヤ部分(オフロードタイヤ)
写真:ロボットのタイヤ部分(ノーパンクタイヤ)
左:オフロードタイヤ、右:標準仕様のノーパンクタイヤ

【Hakobotの自動配送ロボット オフロード仕様】

全長102.6cm
高さ94.6cm
66.0cm
耐荷重100kg
駆動方式4輪駆動
タイヤ冬期路面用にオフロードタイヤを装着(最高時速 6km/h)
使用周囲温度-30°C~45°C
写真:航空地図に示された走行ルート
走行ルート。更別村本通り商店街(御食事処あさひ)から更別村役場まで(約300m)

 実証の結果、5cm程度の積雪、圧雪、凍結、シャーベットのさまざまな冬期の路面環境下を走破。歩道と車道の雪による凹凸や、歩道上の車の乗入部の凹凸なども走破した。300mを8分程度で移動し、保温バッグを用いることで温かい食事を提供した。

写真:上部のふたが上に開いたロボット、料理を積み込む様子
出前する料理をロボットに積み込む様子
写真:歩道を走行するロボット
圧雪状態の歩道を走行
写真:道路を走行するロボット
雪、凍結、シャーベットなど、さまざまな路面環境下を走行
写真:ロボットから料理を取り出す様子
更別村役場までの出前を完了

 現在は自動配送のルート設定などの準備は専門技術者が行っており、今後、地元の組織や事業者などが主体となって運営を担えるシステムなど、本格的な運用を見据えた検討・実証を進めるとしている。