岡野バルブ製造は、ドローンを活用した下水道管調査に関する実証を2025年10月22日に岡山市内で実施した。今回の実証を皮切りに、ドローンを活用した下水道調査に関する提供体制を確立し、全国自治体に向けたサービス展開を目指す。

 各地で下水道管の高経年化が進む一方、管内は硫化水素が発生するなど作業面では危険を伴い、維持管理に関する調査・対策を講じにくいことが課題であった。

 同社は、資本業務提携を結ぶLiberawareとともに、下水道管内でドローンを飛行させる調査方法の確立に向けて検討を重ねてきた。5月には北九州市上下水道局と3者合同で狭小空間点検ドローンを活用した下水道管調査を実施し、その後も継続的にドローンを活用した調査を展開している。

写真:ドローンをロープ付きのメッシュのケースに入れ、マンホールから下水管に下ろす様子
写真:狭小空間点検ドローン「IBIS2」
【北九州市での調査】左:ドローンを下水道管に下ろす様子、右:調査で利用した狭小空間点検ドローン「IBIS2」。

 従来、下水道管内の状況確認は、人が立ち入って行う方法が主流だが、内径が小さい場所や硫化水素などの有害ガスが発生する場所では調査が困難なことが課題となっていた。作業者の確保も難しく、新たな調査方法としてドローンの活用が期待されている。

 今回の実証は、北九州市での調査をもとに岡野バルブ製造が単独で実施。巌井ポンプ場(岡山市北区)近くの、敷設から50年以上経過した下水道管(合流管、内径2,400mm、実証延長76m、ヒューム管)を対象に、Liberaware製の狭小空間点検ドローン「IBIS2」を同社パイロットが操縦した。

 GPSが届かない下水道管内で、機体に搭載した高輝度照明とフルHDカメラで管壁を撮影できるかを中心に確認を行い、管壁のさびたナットや瓦解したはしごの状況などを映像によって確認することができた。

【各者役割】

岡山市下水道管点検における課題面の提示、調査依頼
岡野バルブ製造点検プロセスの構築、現場対応、ドローンのオペレーション
写真:地上で撮影するパイロット
下水道管内を撮影するパイロット
写真:マンホールの上で作業をする様子
ドローンを下水道管に下ろす前の作業
写真:マンホールからドローンを下ろす様子
下水道管内にドローンを投入する作業
写真:下水道管内の様子
写真:下水道管内の様子
写真:下水道管内の様子
ドローンで撮影した下水道管内の様子

 今後、同社は岡山市と下水道管点検作業におけるドローン活用の可能性について継続的に協議していくとしている。また、全国自治体への展開を図る方針だ。

 技術面では、点群化やAI解析技術の活用を進め、クラック(ひび割れ)、漏水、付着物、堆積物の自動検知や進行度予測などの高度化を目指す。