2025年10月23日、TDSEは、東海鋼管と共同開発した水管橋AI劣化診断システム「CorroSensing(コロセンシング)」の提供を開始すると発表した。

 このシステムは、2023年の省令改正により水管橋の定期点検(重要管路は2年に1回、その他の管路は5年に1回の点検)が義務化される中、限られた人員でも効率的かつ高精度に点検作業を実施できるよう開発したものとなる。

 AIやドローンを活用することで、従来の目視・触診といった作業を省力化し、点検の頻度や対象が増加する中でも持続可能な運用を可能にする。労働人口の減少に対して、人的リソースの最適化と業務負荷の軽減を図り、インフラの安全性と保全レベルを維持しながら持続可能な点検体制を構築する。

 TDSEは、2019年に東京電力パワーグリッドと架空送電線画像AI診断システムを共同開発するなど、画像処理技術を活用した社会インフラの異常検知に多数の実績を持つ。これらの実績をもとに開発したCorroSensingにより、水管橋の腐食や損傷による漏水・破損事故の未然防止、点検漏れや見落としの回避、人的リソース不足による点検遅延の防止など、インフラ保全におけるリスクの早期発見と予防に貢献する。

CorroSensingの機能

①腐食・さびの検知、自動分類

 ドローンで撮像した画像をシステムにアップロードすることで、AIがさびや腐食のある箇所を検知し、異常度(腐食度)を4段階で分類。早期に改善が必要かどうかを明らかにする。

さびや腐食を検知する様子
さびや腐食を検知する様子

②点検レポートの自動生成

 検査結果全体をパノラマ画像とともに、どこにどのレベルの腐食があるかをレポート形式で出力する。レポートは、その腐食度判定に基づく推奨対策の提案を含んでおり、自治体などの点検管理表としてそのまま活用できる。レポート比較による経年劣化の予測にも対応し、保全計画の立案等にも活用が可能。

点検レポート(異常箇所詳細)
点検レポート(水道橋等点検記録)

 CorroSensingを導入することで、人による点検業務を省力化・自動化し、従来はドローン撮影動画を目視で確認していたものを、ドローン撮影からAI検査まで自動化することで点検品質を向上、平準化する。主に、自治体での点検管理表作成業務の効率化や保全予算の最適化を見込んでいる。

 水管橋の点検コストを削減するとともに、インフラの劣化をいち早く把握して安全性を向上。また、経年比較を行うことで劣化度の予測も可能となり、点検頻度を効率化する。

 今後、水管橋に限らずさまざまな社会インフラの劣化をAIで早期発見できるよう取り組むとしている。