2025年9月25日、ネクストウェアは、ドローンを活用した次世代型の施設点検手法の確立を目指し、自動自律型ドローンの飛行制御や撮影制御技術に関する技術プロジェクトの実地検証を開始したと発表した。主に公共インフラやトンネル、地下設備などの点検作業において持続的で省人力な運用体制を構築し、安定性や再現性の高い自律飛行技術の実用化を進める。
施設点検ではドローンの活用が広がっている一方、人による手動操作が一般的である。広範囲の定期点検では、操縦者の技能により飛行や撮影品質が左右され再現性や精度にばらつきが生じることや、点検結果に基づくAI画像解析には撮影品質の安定性が不可欠であること、広範囲かつ定期的な点検業務では点検コストや属人性の問題が解消されにくいなどの課題があった。特に、地下構造物やトンネルでは、通信環境や照明設備の不備、浸水・大気条件などにより、操縦士の配置自体が困難なケースが多く、自動自律型ドローンによる点検が求められている。
取り組み内容
ネクストウェアは、以下の技術的課題について実証・検証を進め、「再現性と精度を備えた完全自動点検モデル」の基盤実現を目指す。
- 夜間、暗所、通信不良環境下でも、安定飛行と障害物回避を実現する制御アルゴリズムの検討
- AI画像解析に耐えうる、高精度かつ適切な撮影条件(角度・距離・照度など)の推定
- 点検用途に応じた各種ペイロード(カメラ・センサー等)の適正搭載条件の検討
- 定期点検における再現性の高い自律航行パターンの立案
- 無線通信の届かない場所でも対応可能な位置特定技術(SLAM、UWB等)の検討
- 撮影画像への正確な位置情報付与を目的としたジオリファレンス処理技術の検証
- ドローン管制システム(飛行管理・ログ・支援機能等)およびシミュレーター環境の構築検討
この検証は、2025年度内の完了を目標としており、成果に基づいてサービスの本格展開の可否や適用分野の拡大について検討する。また、情報の分散化セキュリティ技術やAI異常予兆検知技術など、同社の既存技術との組み合わせを視野に入れ、道路や上下水道、公共エネルギー施設などインフラ施設全般への汎用的展開を図り、持続可能な点検ソリューションの事業化を進めるとしている。
