2025年9月22日、DRONE SPORTSは、狭所点検用国産ドローン「Rangle microシリーズ」と地下通信中継システム「Rangleエクステンダー」を活用した下水道点検の実証実験を実施したと発表した。

写真:水が流れる下水道の様子
Rangle microによる撮影画像

 従来、下水道点検では作業員が地下空間に直接入り目視で確認を行っている。そのため酸素欠乏や有毒ガスによる中毒、転落事故などの労働災害リスクを伴っていた。また、狭小空間での長時間作業による身体的負担も大きな課題となっている。

 Rangle microは、下水道内部の複雑な環境でも安定した飛行制御が可能。Rangleエクステンダーと組み合わせることで、長距離の管路点検や電波の届きにくい地下環境にも対応する。

 実証実験では、作業員が地上から遠隔操作のみで点検作業を行い、その有効性を確認した。

【対象環境】

  • 円形コンクリート管(直径1.5~3.0m規模)
  • 地下チャンバー(接続部・分岐点)
  • 直線トンネル
  • 管路接続部の複雑な構造 など

 壁面の劣化状況(ひび割れ、腐食、漏水跡)の詳細確認、管路内部の堆積物や閉塞状況の把握、接続部の構造的健全性の評価、従来の目視点検では困難な高所部分の確認において、点検精度が向上した。また、作業員の地下空間への立ち入りを回避し、有毒ガスや酸素欠乏環境での作業リスクや排除転落・挟まれ事故を防止するなど、作業安全性も向上した。

 今回の実証では、照明条件が限られた環境下でも高精度な画像を取得し、コンクリート壁面の変色、腐食の進行状況、構造材の劣化など、点検業務に必要な詳細情報を効率的に収集することができた。

 今後、全国の自治体や下水道管理事業者との連携を強化し、ドローンを活用した下水道点検の普及拡大を目指す。より多様な下水道環境への対応や、AI画像解析との連携による自動診断システムの実現など、技術開発を進めるとしている。