国土交通省航空局は、「航空法第87条第1項の許可について」等の新規制定および一部改正(案)について、意見を公募する。寄せられた意見は、最終的な決定を行う際の参考資料とする。募集締め切りは、2025年10月5日。
同省では、空飛ぶクルマの実現に向け、「空の移動革命に向けた官民協議会」(以下、官民協議会)において議論を進めている。今回、1人乗りの空飛ぶクルマで操縦体験等を行う運航が予定されており、飛行を常に監視する遠隔操縦者の配置や限定された飛行範囲といった従来の航空機の運航とは異なる特徴を有することから、当該運航に対応するため関連する通達の一部改正を行う。
また、無操縦者航空機の活用に関する期待が高まっている状況を踏まえ、官民協議会において、無操縦者航空機の制度整備に係る検討を行っている。官民協議会での検討結果等を踏まえ、試験飛行等および上記運航を行おうとする航空機について、航空法第87条第1項の規定に基づく許可を受ける際に適用される基準を明確化し、新たに通達として定める。
発行および適用は2025年10月を予定している。
【意見募集対象】
「航空法第87条第1項の許可について(案)」等の新規制定及び一部改正案
【改正の概要】
(1)航空法第87条第1項の許可について(新規制定)
以下に該当する飛行を行おうとする航空機に係る法第87条第1項に基づく許可について、許可申請の方法、許可条件及び期間、審査方法等を定める。
① 耐空証明を受けずに法第11条第1項ただし書の許可を受けた航空機による試験飛行等
② 耐空証明を受けた航空機による以下の全てを満たす場合の飛行
- 機体への搭乗が可能かつ遠隔操縦が可能な電気を動力源とする垂直離着陸飛行機又はマルチローターを使用
- 飛行範囲を限定するジオフェンス等の機能を使用
- 常に遠隔操縦者の監視の下で行う搭乗者の操縦体験等のための飛行
- 遠隔操縦者の目視の範囲内での飛行
※耐空証明を受けた航空機による②以外の飛行については、機体や運航の特性に応じて、個別に審査を行う。
(2)航空法第28条第3項の規定に基づく業務範囲外行為の許可について(平成7(1995)年6月16日制定、空乗第115号)
航空機の操縦を行う場合には、操縦士の技能証明と身体検査証明を有している必要があるが、法第28条第3項に基づき国土交通大臣の許可を取得した場合には、特例として技能証明等を取得せずに操縦行為を行うことが可能となっている。
以下に該当する飛行を実施する場合は、法第28条第3項の許可が必要となるため、今般当該飛行の許可の基準を定める。
- 遠隔操縦が可能な電気を動力源とする垂直離着陸飛行機又はマルチローターを使用
- 飛行範囲を限定するジオフェンス等の機能を使用
- 常に遠隔操縦者の監視の下で行う搭乗者の操縦体験等のための飛行
- 遠隔操縦者の目視の範囲内での飛行
- 異常が発生した場合の手順があらかじめ定められている飛行
- 当該操縦体験等を行う者が、当該航空機を操縦することができる我が国の技能証明及び航空身体検査証明を取得することが困難であると認められる飛行
(3)航空機に装備する装備品等の取扱い(令和3(2021)年7月30日制定、国空機第384号)
法第16条第2項に基づき、耐空証明のある航空機の使用者が当該航空機に装備する装備品及び部品(以下、装備品等)には装備品等基準適合証又はこれと同等と認める外国の証明書が必要となるが、米国において14CFR Part103のUltralight Vehicleに該当する電気を動力源とする垂直離着陸飛行機又はマルチローターに装備される装備品等については、FAA Form 8130-3の添付が必須とされていない。
上記のような航空機の装備品等について製造者の発行したCofC(Certificate of Conformity:適合証明書)により装備が認められるようサーキュラー1-502「5-5 その他国土交通大臣が定める装備品等」に5-5-13項として追加する。
(4)その他所要の改正
以下の通達について、所要の改正を行う。
- 「航空機及び装備品等の検査に関する一般方針」(平成12(2000)年2月1日制定、空機第100号)
▼「航空法第87条第1項の許可について」等の新規制定及び一部改正(案)に関する意見募集について
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=155251233