写真:配送ロボットから臨床検体を取り出すアーム付きロボット

 2025年8月21日、藤田医科大学(以下、藤田医大)と川崎重工業(以下、川崎重工)は、2種類のサービスロボット連携により臨床検体配送から臨床検査機器への自動投入までを行う実証実験に成功したことを発表した。

 医療従事者の負担軽減・業務効率化による質の高い医療の持続的提供の実現に向けた取り組みであり、藤田医科大学岡崎医療センター(愛知県岡崎市)において、川崎重工の屋内配送用サービスロボット「FORRO(フォーロ)」とアーム付き自律走行型サービスロボット「Nyokkey(ニョッキー)」を活用して実施した。

 また、川崎重工の屋内外位置情報ソリューション「mapxus Driven by Kawasaki(マプサス・ドリブン・バイ・カワサキ)」を用いて導入効果の検証を行った。

 高齢化に伴う患者数の増加、労働人口減少による医療従事者の確保が課題となる中、質の高い医療を持続的かつ安定的に提供し続けるため、医療現場の業務の自動化が求められている。これまで自動化されてこなかった業務をロボットに代替させることで、医療従事者の負担軽減と業務効率化を目指す。

実証実験について

 今回の実証実験は、2025年8月4日から6日にかけて、屋内配送用サービスロボットFORROが病棟から検査室まで検体の自動配送を行い、アーム付き自律走行型サービスロボットのNyokkeyがFORROの荷室から臨床検体を取り出し、臨床検査機器に自動投入を行うという一連の動作を行い、検証を実施した。

 加えて、屋内外位置情報ソリューションを活用して、検体の配送や検査業務に携わる看護師・臨床検査技師などの医療従事者の業務負担軽減に関する検証・評価を行った。検体配送に携わる医療従事者が所持する位置情報発信デバイスで移動距離などを計測し、ロボットの導入効果を定量的に評価した。

 なお今回の実証実験には、愛知県「ロボット未活用領域導入検証補助金」を活用している。

写真:施設内を移動するFORRO
FORROが検体を配送する様子
写真:並んだFORROとNyokkey
FORRO(左)とNyokkey(右)
写真:Nyokkeyがアームを使って検査装置に検体を投入する様子
検査装置に検体を投入するNyokkey