2025年8月6日、山形県長井市とNTT東日本、NTT e-Drone Technology(以下、NTTイードローン)、NAVER Cloud、韓国水資源公社(以下、K Water)は、デジタルツインおよびドローンを活用した地域防災強靭化の相互協力に関する連携協定の締結を発表した。
災害が複雑化・多様化する中、限られた人員で迅速かつ的確に対応するためには、被害の発生を事前に予測し、現場の状況をリアルタイムに把握・共有できる仕組みを構築することで、自治体職員の意思決定を高度化・迅速化していく必要がある。
協定では、ドローンの空撮画像から長井市の高精細なデジタルツインを構築し、水害シミュレーションによる危険エリアの事前予測情報、リアルタイムに取得するカメラ・河川水位センサーによる現場情報と降水・降雪情報をデジタルツイン上に反映して、総合的に管理・分析することで、防災オペレーションの仕組みを最適化する等、デジタル技術を活用した“強靭かつ持続可能な地域防災”の実現に向けた検討を進める。
長井市は、一級河川・最上川が市街地を南北に貫流し、そこから分岐する複数の支流が市内を横断する地形的特性を有している。2022年の豪雨災害では、複数の住宅が浸水、近隣自治体でも鉄道の橋が流されるなど、土砂災害を含む大規模な被害が発生し、防災体制の強化が喫緊の課題となっている。
協定の取り組み概要
- ドローンを活用した高精細なデジタルツインの構築
ドローンによる空撮画像データをもとに、高精細なデジタルツインを構築する。
- 水害シミュレーションによる降雨・水害の事前予測・可視化
高精細なデジタルツイン上での水害シミュレーションにより、被害が予想されるエリアを事前に予測・可視化する。
- リアルタイムな現場状況の可視化・モニタリング
長井市を流れる河川の水位状況や氾濫状況など、水位センサーやカメラを組み合わせることで危険度をリアルタイムに可視化し、モニタリングできるようにする。
- 災害対策を担う関係者間の情報共有と意思決定支援
デジタルツインを活用して得た情報を活用して、地域の情報を統合的に管理・分析し、自治体の意思決定を支援する機能(地域オペレーション機能)による最適な地域防災の仕組みを検討する。
【各者役割】
| 長井市 | 協定の取り組みを行う実証フィールドや関連するデータの提供 |
| NTT東日本 | 全体統括、河川状況をモニタリングするための無線ネットワークソリューションや地域防災を実現するための防災ノウハウ・ソリューションの提供 |
| NTTイードローン | 長井市内の空撮データ等、ドローンソリューションの提供 |
| NAVER Cloud | ドローンや衛星画像をもとにした、デジタルツイン構築ソリューションの提供 |
| K Water | デジタルツインベースの浸水予測および、洪水の精密モニタリングなど水資源最適管理ソリューションの提供 |
今後5者は、長井市全域へ防災オペレーションも含めたデジタルツインの本格的な展開に向けて検討を進める。また、防災領域だけでなく、都市計画や人流解析による賑わい創出にも適用範囲を拡大することで、平時利用から有事利用までフェーズフリーに実装し、地域の課題解決・活性化を推進する。
