2025年6月19日、Chartは、水陸両用移動ロボット「ヒレロボット」の開発を開始したと発表した。ヒレを用いた独自の移動機構により、水中・陸上をシームレスに移動する。
1種類のヒレ状アクチュエーターで推進をまかなうため、異なる移動形態に切り替えることなく連続した走破が可能。一つの機体でさまざまな現場環境に対応する。
全長約30cmの小型モデルを開発済みで、今後、大型モデルを開発し、長時間探査・災害救助などへの応用を目指す。
ヒレロボットは、「ヒレ」による独自の推進機構を備え、水中・陸上を問わず多様な現場環境での活用を想定している。
柔軟なヒレの波打つ動きによって、水中でも安定した推進力を発生。スクリューのような回転機構を使わず、流体の中を滑らかに進むため、濁流・浮遊物・障害物が存在する水中環境でも推進力が失われにくく、障害物との接触による故障リスクを低減する。水中からそのまま陸上へと移行する連続的な移動も可能だ。
内部バッテリーによる完全独立電源と無線通信により、入り組んだ空間や障害物の多い現場でも動き回ることができる。配線に絡まることがないため、複雑な配管・瓦礫下でも遠隔より操作できる。
ヒレを波打たせる独自の移動機構により、氷上・砂地・泥濘地・瓦礫上・配管内部など、従来の車輪・クローラー型では困難な環境下でも安定して移動。特に、地形が急激に変化する災害現場などでは、臨機応変にその場の環境に適応する。
「ヒレロボット」活用イメージ
宇宙探査用途(未知環境適応型ローバー)
- エウロパ・エンケラドスなど氷下海洋探査
氷・水・岩場が混在する極限環境下での地質・生命痕跡探査用途へ応用。 - 火星地下空洞・溶岩管探査
狭い場所で、水分・粉塵が存在する地下空洞探査ミッションに活用。 - 月面基地周辺の安全確認
足を取られやすい、柔らかいレゴリス堆積地などでの自律探査。
被災地での瓦礫下状況の確認・生存者探索・安全確認
- 災害現場初動の状況把握
地震・爆発事故・津波などで倒壊・浸水した現場に投入。瓦礫の隙間や浸水エリアに入り込み、人が踏み込む前の安全確認や二次災害リスク(崩落・ガス漏れなど)の評価を実施。 - 瓦礫内部の生存者探索
生存空間の有無や声・動き・体温等のセンサー搭載による生存者検出の補助。 - 二次災害予防の遠隔確認
余震後の不安定な建物内部・危険物質流出現場に対し、救助隊の投入前に先行調査役として利用。
水中資源探査・調査での活用
- 水中資源マッピングの効率化
水中資源の位置情報のマッピングを低予算、高精度で探査。 - ダム・堤体内部調査
通常はアクセスが困難な貯水池内部・水中構造物・排水ゲート部点検に活用。
高放射線・高温等、極限環境での遠隔計測
- 原子力施設の廃炉現場点検
燃料デブリ調査・高線量エリア内の視認・表面温度分布計測。 - 火山の火口縁の状況観測
高温・有毒火山ガスエリア周縁部での地質活動モニタリング。
