2025年6月5日、Terra Drone(以下、テラドローン)は、同社子会社でベルギーに拠点を置く運航管理システム(UTM)プロパイダーのUnifly(以下、ユニフライ)が、ポジションペーパー「空の移動革命:次世代エアモビリティを支えるUTM」を公開したと発表した。
ポジションペーパーでは、UTMの機能強化を軸に、安全で広域な次世代エアモビリティの実現に向けたビジョンと、そのための具体的なロードマップを提示している。
昨今注目を集める次世代モビリティのひとつである空飛ぶクルマは、バッテリー技術・素材の軽量化・自動化技術の進化により、本格的な実用化が視野に入りつつある。しかし、その実現には、空域の安全性や運航管理インフラの確立といった課題への対応が必要になる。
こうした課題に対し、ユニフライはUTMの機能強化を軸に具体的な対応策を示すロードマップを発表した。空域の安全性と拡張性を支える“デジタルインフラ”としてのUTMの役割を明確化し、政策・制度設計に向けた提言も行っている。
ポジションペーパー概要
主に以下の内容を包含し、次世代エアモビリティの広域展開に向けた、ユニフライのソリューションとロードマップを示している。
【変革していく都市の空】
空飛ぶクルマは、人が操縦する航空機やヘリコプター、ジェネラル・アビエーション(定期便を除く民間航空全般)、ドローンと共存しながら、都市の空に新たな移動手段の選択肢をもたらそうとしている。都市化の進展と移動に対するニーズの多様化を背景に、「空の移動」の実現に向けた動きが進みつつある。
【市場の動きと技術の進展】
最先端技術の進化と官民双方の積極的な投資環境を追い風に、空飛ぶクルマの製造メーカーは生産体制を急速に拡大し、ヘリコプターの生産台数を上回る勢いで成長している。
静音性が高く、環境負荷が小さく、コスト効率にも優れた機体が次々と市場に投入され、都市部ではライドシェア型の空の移動サービス実現に向けた動きが本格化しつつある。
【普及を阻む課題】
次世代エアモビリティの普及には、以下のような課題がある。これらの課題は、既存の交通ネットワークへの円滑な統合を阻む障壁となっている。
- 都市特有の複雑な環境
- 既存の航空管制システムでは膨大な数の機体の適切な管理が難しいこと
- 離着陸場の整備遅れ
- 空飛ぶクルマを安全に運航できるパイロットの不足
- 統一された標準規格の不在
- システム間の相互運用性が十分に確立されていないこと
- 有人機と無人機が混在する空域において、求められる航空交通管理(ATM)と運航管理(UTM)の段階的な統合の遅れ
【ユニフライのソリューションと包括的なロードマップ】
ユニフライは、これらの課題を克服し、安全かつ効率的な次世代エアモビリティの広域展開を実現するために、UTM機能強化の包括的なロードマップを提示している。
主なソリューション
- 飛行ルートの最適化による空域の混雑回避(戦略的衝突回避)
- 離着陸場の利用枠(スロット)管理
- パイロットの人員配置や機体の配備状況の最適化
- 緊急時における対応体制の構築
- 自律運航や遠隔操縦を見据えた“デジタル飛行ルール(DFR)”の導入準備
これらの取り組みにより、ユニフライは都市部における次世代エアモビリティの安全で効率的な運用、そして将来的な広域展開を支える運航管理インフラの構築を目指すとしている。
ユニフライは、これまで約10年にわたり、世界各国の航空局や航空管制サービスプロバイダー(ANSP)に向けてUTMソリューションを提供してきた。UTMを核とした次世代空域管理システムの実現に向けた取り組みを積極的に進めている。
▼ポジションペーパー全文 ダウンロードページ(英語)
https://www.unifly.aero/utm-uam-aam/
