2025年5月13日、福島県昭和村とNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は、2025年4月に自動飛行ドローンの運用を行い、ドローンポート「Skydio Dock for X10」を活用したレベル3.5飛行に成功したことを発表した。

 ドローンにより撮影した映像などを用いることで、国道横断を含む村内・山間部の完全無人での自動巡回に成功し、ドローン運用の有効性を確認した。

 今回の実証は、2024年11月に行った自律飛行型ドローンを活用した夜間人物探索の実証に続き、山間部や中山間地域での災害時などの状況把握を、遠隔から即応的に実施する手段としてのドローンの有効性を検証したもの。また、日常的な有害鳥獣対策などへの検証も目的としている。

写真:ドローンポートからドローンが離陸する様子
ドローンポートからドローンが離陸する様子
写真:ノートPC画面に映る飛行状況
遠隔から飛行状況を監視する様子

 レベル3.5飛行とは、飛行経路下に歩行者などがいない無人地帯であることを機上カメラなどのデジタル技術の活用によって確認することで、補助者の配置などの立入管理措置を講じずに飛行することができる飛行形態。昭和村は、歩行者などが存在する可能性が比較的少ない森林や農用地などが多いため、レベル3.5飛行に相当する飛行を実現することで、ドローンを活用した無人での効率的な巡回などの実用化が近づく。

 レベル3.5飛行の実施とドローンの自動離着陸および自動給電を行うことができるドローンポートを活用して実証を行うことで、本格的な無人でのドローン活用を目指す。

実証の概要

 実証では、高解像度カメラ搭載の自律飛行型ドローン「Skydio X10」を活用し、飛行経路下に歩行者などがいないことを遠隔から確認することで、補助者なしで村内を巡回することに成功した。

 また、Skydio X10はWi-FiとLTEを利用した飛行・撮影が可能。ドローンポートSkydio Dock for X10と組み合わせることでより広い範囲での飛行と無人発着が可能となり、昭和村内を無人巡回させることができた。

実証での機材・システム等の構成イメージ
実証の構成イメージ

【実証の概要】

実施期間2025年4月1日〜22日
実施場所福島県昭和村
使用機材セルラードローン「Skydio X10」、ドローンポート「Skydio Dock for X10」
飛行回数184フライト
総飛行時間24時間
天候条件晴天・曇天・雨・雪

【主な成果】

  • レベル3.5の飛行
  • 夜間飛行
  • 雨天・降雪など厳しい環境条件下での連続飛行運用
  • 遭難者への呼びかけを行うことを想定した、機体アタッチメントであるマイク&スピーカーの音声試験(消防関係者と共同で、高度100mから地上に音声が届くことを確認)
  • 工事現場での進捗管理への活用を想定した、全飛行日程の3Dモデル、オルソ画像(※1)の生成
  • 屋外インフラ設備の自動巡回点検への活用に向けた、点検精度の確認

※1 オルソ画像:撮影した空中写真を位置ズレのない画像に変換したもの。

実証の様子(ドコモビジネス | NTTコミュニケーションズ YouTubeチャンネル)
写真:4/11と4/22の3Dモデルの比較
村内撮影画像から生成した3Dモデルの比較
写真:ドローンの飛行状況や映像が表示されたPC画面と、それを確認する人々
有害鳥獣の調査を目的とした夜間飛行の様子

 今後両者は、災害対策・インフラ点検・山間地域の見回りなど多様な用途に応用できる自動飛行ドローンの社会実装を進めるほか、飛行申請や制度運用の実証知見を積み上げ、全国自治体でのドローン利活用のハードルを下げる一助となることを目指す。