Terra Drone(以下、テラドローン)は、屋内目視点検ドローン「Terra Xross 1」を、2025年1月30日に日本と米国で発売した。

 同社が開発から生産までを一貫して手がけた屋内点検用ドローンで、ビジュアルセンサーとLiDARによる安定した飛行性能を備えている。価格は従来機種に比べて約3分の1となる。

屋内目視点検ドローン「Terra Xross 1」のイメージ画像

 屋内点検業務には、高所や狭所での作業が多く、従来の点検方法では作業者の安全性を担保できないケースがあった。作業の準備にも足場の組み立てなど時間やコスト、人員などの充当が必要となる。

 ドローンを活用することで点検業務の安全性や効率性の改善が見込まれる一方、屋内ではGPSが活用できないため多くのドローンは安定飛行が難しく、操作には高度な技術が必要であった。また、屋内での安定飛行を実現した高性能な既存機種は高額で、コストが導入の障害となっていた。

 今回開発したTerra Xross 1は、ビジュアルセンサーとLiDARを搭載し、独自技術により安定飛行を実現。誰でも簡単に屋内飛行ができる。取得したデータを3次元上で管理・共有する「Terra Xross Cloud」を同時提供することで、スムーズなデータ管理が可能だ。自社開発製品のため低価格での提供が実現した。

 インフラ点検や鉱山調査、災害調査、セキュリティ用途など、多様な業種や業務における活用を想定している。

 製品の開発にあたりテラドローンは、「海洋石油・天然ガス分野における脱炭素化等推進に係る日本財団-DeepStar連携技術開発助成プログラム」を活用している。このプログラムは、2021年12月に日本財団とDeepStarが締結した覚書に基づき、両者が連携して海洋石油・天然ガス分野における脱炭素化推進を目的とした技術開発を促進する取り組みとなる。

 今後テラドローンは、国内市場に加え、屋内点検の需要が高いアメリカ市場でも展開する方針だ。

製品概要

  • 屋内暗所・粉塵環境での安定飛行
     ビジュアルセンサーとLiDARを搭載し、屋内での安定飛行を実現。従来主流となっていたビジュアルセンサーは、屋内暗所や粉塵環境では不安定になりやすいことが課題であったが、機体の移動量によって自己位置を推定するLiDARを活用することで、視覚情報に依存せず安定した飛行を可能にした。
    写真:ドローンの装備パーツ(LEDライト、ビジュアルセンサー、LiDAR、プロペラ、180度回転カメラ)
    製品パーツの説明
  • 従来の約3分の1のコスト
     自社開発のスキームとリソースの効率化により、製造コストを大幅に削減。従来の屋内点検用ドローンと比較して、約3分の1のコストで提供することが可能となった。
  • 有線給電モジュール使用による長時間飛行
     通常のバッテリーでの飛行に加え、有線給電モジュールでの飛行に対応し、常時給電することで長時間の連続飛行が可能。バッテリー切れによる墜落リスクがなく、バッテリー交換が不要となるため効率的に点検を実施できる。
    写真:屋内で飛行するドローン。機体から細いケーブルが伸びている。
    有線給電モジュールを使用した飛行の様子
  • 上下方向180°撮影可能な4Kカメラ
     上下方向に180°向きを変えられるカメラを備え、周囲の障害物を確認しながら多方向の撮影が可能。強力なLED照明と4K解像度カメラにより、暗所でも鮮明な動画・写真を撮影できる。
  • 「Terra Xross Cloud」でデータ管理を効率化
     取得した点検データはTerra Xross Cloudにアップロードすることで、撮影データの位置を3次元空間で把握することができる。取得した点群データと撮影写真データを一貫して管理・共有することで、チーム間での迅速な情報共有を支援し、効率的な作業フローを構築する。
    写真:Terra Xross Cloud上の、撮影した画像と点群データ
    Terra Xross Cloud上で閲覧できる撮影・点群取得データ

▼屋内点検用ドローン「Terra Xross 1」
https://terraxross.terra-drone.net/