2025年1月22日、国際航業、日本電気(以下、NEC)、電気興業は、総務省「地域デジタル基盤活用推進事業」において、新しい通信技術である可搬型ローカル5Gを活用し、「災害時の被災状況の迅速な把握・共有、適切な指示による災害復旧支援活動の強化」「平常時における点検費用の低減、管理工数の削減」を目的としたソリューション提案を行い、採択されたことを発表した。

 静岡県清水港にローカル5G環境を構築し、災害時・平常時の港湾施設点検の高度化の実現に向けた実証試験を行う。

【実証試験の内容】

  • ドローンを活用した高精細映像のリアルタイム伝送による被害状況の迅速な把握や三次元地形データの作成
  • マルチビーム・リモコンボート測深データ等の大容量三次元点群データの伝送時間短縮
  • サーマルカメラ映像を利用したAI解析による海上障害物の自動検知等
地図に示した各実証試験の実施場所(ドローン撮影、マルチビーム調査、監視カメラ、リモコンボート調査)
ローカル5G実証実験イメージ

 南海トラフ巨大地震や東海地震等の発生が危惧され、速やかな港湾機能復旧のための災害時における情報収集・共有および復旧活動の迅速化が求められている。また、高度経済成長期に整備された港湾施設の老朽化が進行し、適切な維持管理のための点検診断費用の低減が大きな課題となっている。

 ドローンによる⾼精細映像の取得や三次元地形モデルの作成、詳細な三次元海底地形データ取得、サーマルカメラ映像を利用したAI解析による海上障害物の自動検知技術が開発されている一方、これらの技術を活用するために必要なデータは容量が非常に⼤きくなるため、⾼速⼤容量で低遅延かつ多数同時接続の特⻑を持ち、独⽴したネットワーク網を構築できるローカル5Gの活⽤が期待されている。

 そこで3社は、災害時・平常時における港湾施設の強靭化・点検高度化を目指した実証試験を実施する。可搬性・運用性に優れ、低電力である可搬型のローカル5G基地局を使用してローカル5G環境を構築することで、災害時の通信環境構築が容易となり、平常時の施設点検においても必要な時・場所で迅速な通信環境の構築が可能となる。ドローンによる⾼精細映像のリアルタイム伝送、マルチビーム・リモコンボート測深データ等の大容量三次元点群データの伝送時間、およびサーマルカメラ映像を利用したAI解析による海上障害物の自動検知の実証試験を行い、本格的な実装に向けて検証する。

【実証試験の概要】

時期2025年1月中旬~下旬
場所静岡県清水港(日の出地区、貝島地区)
実証概要①可搬型無線機器を利⽤したローカル5G環境構築による⾼速・低遅延の通信環境の整備時間低減
②ドローン撮影リアルタイム画像、三次元点群データ収集での点検時間・費⽤低減
③マルチビーム・リモコンボート測深による⼤容量海底地形データの伝送時間の低減
④サーマルカメラによる降⾬時・夜間の監視精度(障害物検知)の向上

【各社役割】

国際航業・プロジェクトの推進・管理、課題実証の総括・検証
・ローカル5G端末搭載ドローン、三次元空間解析技術提供
NEC・通信技術実証の総括、検証
・可搬型ローカル5Gの機器の調達、設計
電気興業・サーマルカメラ映像を利用したAI解析による海上障害物の自動検知技術提供