2024年12月6日、アジア航測は、NTT e-Drone Technology(以下、NTTイードローン)と連携し、災害時を想定した砂防堰堤(えんてい)の被災状況確認に対し、ドローン活用の効果検証を実施したことを発表した。山奥にある砂防堰堤に対し、全長7km超の自動航行を実施し、被災状況確認の効率化に十分な効果があることを確認した。

写真:飛行するドローン「ANAFi Ai」

 大雨による土砂崩れや土石流を防ぐ役割を持つ砂防堰堤は、山間部に設置されているため、現地への移動だけでも多くの時間を要する。地震や噴火などが起きた際の状況確認は危険を伴うため、現場へ近づくことも難しい。そこで、上空LTE対応ドローンを用いた長距離飛行の空撮による被災状況確認の効率化の効果検証を実施した。

【実証概要】

実証日時2024年9月~11月
実施場所長野県、群馬県、静岡県における砂防堰堤
実証内容ドローン空撮(自動航行)により砂防堰堤の状況確認が可能か検証
使用機体Parrot(仏)製「ANAFi Ai」
役割分担アジア航測:飛行計画立案、NTTイードローン:機体運航

 実証の結果、撮影対象の砂防堰堤から高度約50~100mで撮影を実施し、状況を確認することができた。

 ANAFi AiのFlightPlan機能を用いて山の斜面に沿ってウェイポイントの高度を設定し、砂防堰堤通過時のジンバル角度、画角を調整することで、砂防堰堤の上流、下流、周囲のそれぞれの状況を自動航行によって確認した。

自動航行ルート作成画面、完成した自動航行ルートイメージ
ドローンが撮影した砂防堰堤の画像

 アクセスがしにくい山間部の渓流内にある砂防関係施設は、樹木や地形の影響でドローンとプロポの通信可能範囲が制限される課題があった。今回、上空LTEを利用することで通常よりも遠方から調査ができ、効率だけでなく調査員の安全性の向上が見込まれる。今回使用したドローンは小型で可搬性も高く、砂防分野での活用が期待される。

 実証試験では、事前に机上検討した飛行ルートを参考に現地でテスト飛行を行い、最終的なコースやジンバル角度などを調整した。今回はルートの微調整を綿密に行いながら飛行したが、緊急時を想定すると机上におけるルート設定の精度向上が課題になると想定される。