2024年11月7日、エアロネクストは、モンゴル科学技術大学と「M-JEED: Higher Engineering Education Development Project」(以下、M-JEED)(※1)に基づく新型ドローン機体の空力(空気力学)の解析・評価についての共同研究に関するMOUを締結したことを発表した。

 両者はMOUに基づき、今後1年間、共同でエアロネクストの新型ドローン機体の揚力の最適化、抗力の低減、全体的な空力効率の確保等を焦点に、詳細な空力学的な解析、研究活動を行う。また、工学人材育成のための効果的なパートナーシップを構築する。

※1 M-JEED:モンゴルにおける工学系教育と研究能力の国際水準化、および工学系教育環境の質向上を図ることを目的とした工学系高等教育支援事業。

写真:横並びの5人
2024年11月6日「モンゴル-日本 共同研究・産学連携セミナー2024」の会場で行われたMOU締結式。モンゴル科学技術大学ダンジフー・ツォルモンバータル研究担当副学長(左から3番目)、エアロネクスト海外事業マネージャー川ノ上和文氏(右から2番目)(JICA緒方貞子平和開発研究所)
写真:向かい合い話をする2人
エアロネクストのエンジニアが、モンゴル科学技術大学機械工学部のトゥムルオチル・エルデネバト氏の研究室に視察訪問した時の様子(2024年5月)

 エアロネクストは、独自の機体構造設計技術である4D GRAVITYを搭載した次世代ドローンの研究開発や新たな特許技術を自社で開発している。

 同社はモンゴルにおいて、JICA「中小企業・SDGsビジネス支援事業」に2022年度、2023年度に連続で採択され、「モンゴル国ドローン活用による医療品の配送網構築のためのビジネス化実証事業」に取り組んでいる。2023年11月には、4D GRAVITY搭載の物流専用ドローン「AirTruck」を使用し、国立輸血センター、モンゴル国立医科大学付属モンゴル日本病院間での自動航行に成功している。ウランバートル市は標高1,300mに位置し、当日は外気温-15℃という環境の中での、日本における飛行レベル4(有人地帯における補助者なし目視外飛行)に該当する自動航行の成功は、機体性能面においても大きな成果となった。

 その後、現地パートナーのNewcom Groupと現地の運航体制構築の準備を重ね、Newcom GroupのMSDD(Mongolia Smart Drone Delivery)は、2024年8月より国立輸血センターから市内3つの病院(日本モンゴル病院、アムガラン病院、第一母子センター)へのドローンによる血液配送の実運用を開始している。定期的な運用と緊急対応で輸血用血液のドローン配送を実施しており、8月から9月末までに50フライトを実施し、計178名の患者がドローン配送された血液を輸血している。

 継続的な事業推進のため、両者はモンゴルの気候・気象条件(寒冷気温、標高、風等)で安全に運用可能な機体の共同開発を開始する。「ドローンの新機体についての空力(空気力学)の解析・評価」に関する総合的な研究活動を行うとともに、持続可能な社会の実現に向けた工学人材育成のための効果的なパートナーシップを構築していく。

【共同研究の概要】

 機体構造設計技術4D GRAVITY技術に基づく新型ドローン機体についての空力現象の解析・評価。

・大学の風洞設備を使用した実験
・連携大学でのCFDシミュレーション分析
・モンゴルの自然環境への応用可能性の考察