2024年8月27日、三菱電機と国際電気通信基礎技術研究所(以下、ATR)は、ロボットがエレベーターに乗降する際に、ロボットの動作情報をエレベーターのかご内で音声案内することにより、エレベーター利用者に対して安心感を提供するヒューマンファシリティインタラクション(Human-Facility Interaction、以下HFI)機能を開発したことを発表した。
オフィスビルや商業施設などでは、清掃や警備、搬送などさまざまなサービスロボットの導入が進み、エレベーターと連携してフロア間の移動を自動化した技術・サービスが実用化している。人とロボットがエレベーターに同乗することで、効率良くフロア間を移動することができる。一方、同乗する際には、一般的にエレベーターの利用者がロボットの動作に対して配慮することが求められるが、利用者にはロボットの動作情報が伝わらず、不安やストレスを感じやすいという課題がある。
両社は、人が常に一歩先を予測して行動し、他人に対して無意識にストレス軽減動作(会釈、声掛けなど)を行う点に着目し、エレベーターへのロボット乗降時に、エレベーター利用者に動作情報を音声で案内するHFI機能を開発した。ロボットもしくはエレベーターから、ロボットの動作情報をエレベーターの利用者に直接伝えることで不安やストレスを軽減することが期待される。
両社のヒューマンロボットインタラクション(以下、HRI)技術の知見をもとに、エレベーターに適用可能なHFI機能を三菱電機が開発。一般被験者を募集し、同機能の音声案内を用いてロボットの動作情報をエレベーター利用者に伝達してその効果を検証する実証実験を、2024年1月9日~18日の期間に実施した。
実験にはWOZ法(※1)を採用し、ロボットが移動する際にエレベーターもしくはロボットの音声案内を行った(音声案内例「今からロボットが乗ります。出発まで少々お待ちください」)。いずれの音声案内の場合でもロボットに対する利用者の好感度があがり、安心感を提供できることを確認した。
今回開発した機能の具体的な製品化計画は未定だが、今後もサービスロボットとエレベーターでの評価を重ね、音声案内機能の向上を進めるとしている。
※1 WOZ:Wizard of Oz。製品やシステムを完成しているように人が動かすプロトタイプ技法。
【開発体制】
三菱電機 | HFI機能の開発、実証実験 |
ATR | HRIの知見を利用した実証実験計画 |