2024年7月23日、愛知県は、あいちモビリティイノベーションプロジェクト「空と道がつながる愛知モデル2030」の取り組みの第一弾として、西尾市・新城市においてドローンを活用した物流サービスの長期事業化調査を実施することを発表した。

 同プロジェクトでは、ドローンや空飛ぶクルマ等の次世代「空」モビリティの社会実装の早期化を図るとともに、自動運転車等の「陸」モビリティとの同時制御により創出される新しいモビリティ社会「愛知モデル」の構築や、次世代「空」モビリティの基幹産業化を目指している。

 2024年度は、2月に策定した推進プランに基づき、物流、人流、災害対応の各分野で2026年度頃を目途に早期社会実装を目指すローンチモデルの実現や、次世代空モビリティのサプライチェーン構築に向けた取り組みを行う。

プロジェクトの目指す姿
ローンチモデル(物流、人流、災害対応)
プロジェクトの目指す姿とローンチモデル

 今回実施する長期事業化調査では、積載量が大きい物流ドローンを活用した配送サービスを約1か月間提供することで、社会実装を見据えた課題の抽出・分析を行い、先行導入事例の創出に取り組む。

本土離島間の多頻度配送

 2024年10月、西尾市(一色漁港~佐久島 約8km)において、本土離島間の海上を航路として、ドローンの定期配送とオンデマンド配送を組み合わせた多頻度配送および往復配送による運用効率の向上を図るビジネスモデルを想定した実証実験を実施する。

 ​本土から離島へは欠品等の影響が大きい医薬品や日用品等を配送し、離島から本土へは特産品等を配送する。さらに、定期配送に加え、緊急時のニーズに応えるオンデマンド配送を併せて実施する。

【検証項目】
定期配送とオンデマンド配送を組み合わせることで、利便性・採算性を検証。
専門パイロットを配置せず運用することで、運用コストを検証。
着陸地点に設置したカメラやセンサーによる周辺映像や環境情報を用いた離着陸オペレーション技術を検証。

検証イメージ

【使用予定機体】
プロドローン製「PD6B-Type3」
本格配送用機体
推奨積載重量:20kg
第一種型式認証申請機体モデル

写真:「PD6B-Type3」外観

【各者役割】

名古屋鉄道プロジェクトの統括、運航等
プロドローン機体管理
中北薬品グループ荷主協力
西三河農業協同組合荷主協力
西尾市地元調整

河川上空を航路とした複数目的地への連続配送

 2024年12月、新城市(長篠~只持、玖老勢周辺 約8~12km)の河川上空を航路として、一度で複数の目的地へ連続的な配送を行い、運用効率の向上を図るビジネスモデルを想定した実証実験を実施する。市街地から山間地の複数拠点へ医薬品や日用品等を連続的に配送し、山間地から市街地には農産物等を配送する。使用予定機体は、西尾市の実証と同様にPD6B-Type3(プロドローン)を活用する。

【検証項目】
複数の目的地へ連続的に配送することで、飛行効率・採算性向上の検証。
専門パイロットを配置せず運用することで、運用コストを検証。
西尾市における技術検証の結果に加え、飛行プラン自動作成システムを用いて効率的な飛行ルートの作成技術を検証。

検証イメージ

【各者役割】

名古屋鉄道プロジェクトの統括、運航等
プロドローン機体管理
中北薬品グループ荷主協力、機体操縦
愛知東農業協同組合荷主協力
コープあいち荷主協力
東三河ドローンリバー構想推進協議会地元調整