2024年8月27日、センシンロボティクスは、公共設備の遠隔点検を目的とした実証実験に、扶桑電通と共同で参画したことを発表した。

 遠隔地に設置された公共設備の日常点検は時間を要し、特に災害時や障害時に技術者が現場に立ち入れない場合、迅速な対応が困難であることが課題となっている。また、センサーを用いて設備の異常検出を発見した際に、遠隔地から復旧操作などの介入ができない。施設の日常点検や災害時・障害時の迅速な対応を目指し、両社は自動・遠隔操作が可能なロボットによる遠隔監視の検証に参画した。

 センシンロボティクスは、インターネット環境を用いた遠隔操作や自律走行が可能なUGV(運転手の乗車を伴わず無人状態で走行できる車両)を構築し、扶桑電通のアームロボットと組み合わせて提供した。適切なUGVの選定、アームロボットへの搭載、システム統合などの技術面で支援を行い、UGVにアームロボットを組み合わせることで、自律走行による現場巡視だけでなく、必要に応じてアームロボットを活用した復旧操作も可能になる。

 同実証により多様な設備の点検が効率的に行えることを確認。特に、定期的な保守業務や障害時における一時切り分けを遠隔で行うことで、人的リソースの削減と点検精度の向上が実現した。

写真:設備内を走行するUGV
遠隔操作を用いたUGVの走行の様子

 また、非GPS環境下での屋内飛行が可能なSkydioのUAV(ドローン)を活用。センシンロボティクスは扶桑電通へ研修などの導入支援、および飛行の難易度が高い狭小部や、らせん階段がある現場での飛行をサポート。同実証により、遠隔からの簡易的な操作で、操作者の技量に関係なく自律飛行による計器類のデータ取得や、有事の際の初動調査に活用できることを確認した。また、リアルタイムのデータ取得により、異常を確認できた際には即座に対応することが可能となった。その結果、障害時の設備ダウンタイムを最小限に抑え、効率的な運用を実現した。

写真:屋内で研修を実施している様子
UAVの飛行研修風景
写真:設備内を飛行するSkydio機
非GPS環境下でのUAV屋内飛行の様子

 両社は、UGVの自律移動時の正確性および安全性の向上、遠隔操作時の操作性のさらなる高度化に取り組む。またUAVは、取得した計器類や設備外観のデータをAI分析システムで解析し、人では見落としがちな小さな異常を早期に発見することで保守作業をさらに効率化できる。これらの改良やAIの活用を通じて、DXによる設備点検の高度化を推進するとしている。