2024年3月7日、JFEスチールとJFEアドバンテックは、ガスリーク(気体漏れ)検知器「ドローン搭載型エアリークビューアー」を開発し、全製鉄所への導入を完了したことを発表した。高所の高圧ガス配管点検作業の安全性向上と工数削減による迅速化を実現する。

 製鉄所では、さまざまな種類のガスをエネルギーとして活用しており、全長数百kmに及ぶ配管設備について、ガスの性質や立地に合わせた点検を実施している。今回開発した検知器は、JFEアドバンテックの超音波式ガスリーク箇所可視化装置「エアリークビューアー」の新タイプで、足場を設置して行っていた高所の高圧ガス配管設備の点検作業にドローンを活用することで、地上から配管の状況を確認することができる。

 エアリークビューアーは、ガスが漏洩する際に、人には聞こえない超音波が発せられることを利用してガスリーク箇所を可視化する。複数の超音波センサーで受信した音波信号を合成して音圧マップを作成し、可視画像と重ね合わせてガスリーク箇所を可視化するため、ドローンに搭載するとプロペラ音がノイズとなって正しく検出できないという課題があった。

検知器で撮影した配管点検画像

 そこで、ガス漏洩時のリーク音の音響特性を調査し、リーク音とドローンのプロペラ音を判別しやすい周波数帯で測定可能な超音波センサーを新たに採用。さらにセンサーを小型軽量化、独自形状の遮音フードを開発し、センサー部へのプロペラ音の侵入防止とドローンの飛行安定性を両立させた。検知器はBPF(帯域通過濾波器)機能(※1)を搭載しており、環境に応じた測定周波数の変更も可能だ。

※1 BPF:Band-pass filter。電子回路や計測機器、信号処理において、特定の周波数帯域のみを通過させ、それ以外の周波数帯域は減衰させるフィルター。

検知器をドローンに搭載した様子