京都大学とDiOは、2024年3月1日より、点群データを用いた差分解析に関する共同研究を開始する。

 京都大学大学院工学研究科の須﨑純一研究室は、測量学を基礎に衛星リモートセンシングや写真測量、レーザー等の計測、画像処理を通じて、都市を対象にした空間データや地図の生成に関する研究を行っている。DiOは、現地での撮影から点群データの取得やAIによる解析、3Dモデルの組成(モデリング)までを一貫して行うことができる。

 今後、建物や森林・農地などを対象にしたフィールドワークによりリアルなデータを収集して3Dモデルを組成。衛星や空中撮影で取得したデータから高い精度で現況を予測するアルゴリズムを開発し、AIを使って現況を推定する手法の開発を進めるとしている。

 これにより建物の損傷度合いや森林・農地のCO2吸収量などを、撮影データから高い精度で迅速に判定できるようになり、災害発生時の建物の罹災証明の効率化・デジタル化や、CO2吸収量の面から森林・農地を価値化する(J-クレジット対応)ことが容易になるなど、幅広い分野への応用が期待される。

研究内容について

1. 建物の倒壊・損傷差分解析

大規模改修を控えたマンション壁面調査のデジタル化に向けた取り組み
 ドローンを用いてマンションの壁面を複数のアングルから撮影。データを解析・合成して3DCGモデルを生成するフォトグラメトリの技術で点群データを取得し、通常と異常箇所の差分をAIで解析する操作性の高い調査方法の確立に向けて、解析に必要なデータを検討する。

罹災証明のデジタル化に向けた取り組み
 震災が発生した際に目視判定が困難な建物の半壊基準をAIで解析・推定する方法の確立に向けて、解析に必要なデータを検討する。

建物の倒壊・損傷 差分解析

2. CO2吸収量解析
 人工衛星等を活用した、人手に頼らない森林や農地のCO2吸収量の測量および解析の可能性について研究。点群データの活用によって、人工衛星で生じる2~3mの推定誤差を少なくする手法を検討する。

CO2吸収量解析