2024年3月1日、Hien Aero Technologies(以下、HIEN)は、ガスタービンによる発電を利用した無人大型eVTOL(電動の垂直離着陸機)の浮上試験を行い、約1分間浮上することに成功した。

試験飛行の様子

 同社は、2023年よりガスタービン発電機の地上試験を開始し、同年6月、離陸重量100kgの原理実証機「HIEN Dr-One V1」により、ガスタービンハイブリッド自立浮上に成功している。今回は地方空港の屋外環境において、飛行機型の無人航空機「HIEN Dr-One V2B」によるハイブリッド浮上試験を実施した。

 eVTOLは、長い滑走路が不要なため、離島やへき地、過疎地への物流での活用が期待されている。一方、一般的な純電動のeVTOL機は、バッテリーのエネルギー密度の限界から航続距離の制約が大きく、バッテリー充電インフラの必要性なども指摘されている。

 HIENの開発するガスタービンハイブリッドは、バッテリーの数十倍の密度を持つ高効率のガスタービンハイブリッド電力供給システムを用いることで、電動では不可能な飛行距離と飛行時間、高い稼働率を実現するという。また発電能力を有しており、災害時には給電もできる。

 同社は、同試験で用いた技術によるガスタービン発電機「DRAGON」と、それを駆動するハイブリッドシステム「Butterfly」、大型無人機「HIEN Dr-One」の販売を2025年に開始し、2030年を目標に6人乗りの有人eVTOL(エアタクシー)の開発を計画している。

「Dr-One」機体仕様

MTOW(最大離陸重量)100kg
最大航続距離180km
最大貨物積載量20kg
最大外部電源供給量5kVAh