鹿児島県瀬戸内町と日本航空(以下JAL)は、2023年11月30日にドローン運航事業会社「奄美アイランドドローン株式会社」を共同設立し、同町におけるドローンを活用した住民向けサービスを2024年2月29日より開始する。

 瀬戸内町は、ドローン輸送の導入を生活の安心・安全と集落機能の維持を図る新たな行政サービスとして位置づけ、JALグループと連携協定を締結の上、防災から生活物流にわたる地域の社会課題の解決に向け、2020年10月から共同検討・実証実験を重ねてきた。

 今回瀬戸内町はJALと共同出資し、ドローン運航事業会社である奄美アイランドドローンを設立。災害発生時には孤立集落への緊急支援物資の輸送、平常時には医療関係品や日用品を定期配送するなど、島の暮らしを支える住民向けサービスを提供する。

 奄美アイランドドローンは、瀬戸内町の二次離島(加計呂麻島・請島・与路島)を含む町域の地理と輸送物資の特性に適応するため、ヤマハ発動機の産業用無人ヘリコプター「FAZER R G2」を使用した機体運航を担う。JALは運航支援として、目視外遠隔操縦をはじめとした高度なドローン運航管理や安全管理に係るノウハウ提供、開業フェーズでは操縦者人材の派遣も受けながらドローン運航事業を行う。

 JALは瀬戸内町のドローン事業において、地域に根差した事業の発展に向け、操縦者養成をはじめ安全にオペレーションを担う体制づくりを支援するとともに、離島物流ドローンの社会実装モデルとして奄美群島全体への拡大展開を目指すとしている。

【奄美アイランドドローン株式会社】
事業内容:ドローンを活用した各種サービスを実現するドローン運航の実施
代表取締役:登島敏文(瀬戸内町)
設立:2023年11月30日
所在地:鹿児島県大島部瀬戸内町

【瀬戸内町におけるドローン活用/災害時・平常時モデル】

防災・災害対応として、被災状況把握にドローン空撮を活用するほか、救援物資等を輸送する。

生活物流を船舶に頼る二次離島へ、医薬品や日用品の定期配達の一部をドローン輸送する。

災害時・平常時ともに、ドローン輸送はFAZER R G2を使用し、奄美アイランドドローンがレベル3.5飛行(道路横断の際、補助者や看板等の設置や一時停止を不要とする無人地帯における目視外飛行)で運航する。平常時の運航体制をもとに、発災・緊急時の物資輸送要請に即応する。

ICT連携として、スマートフォンアプリを通じた被災情報、物資要請などの情報集約や、日用品配送のロジスティクス情報を一元化するなど、ドローンとデジタル技術の融合を進める。

瀬戸内町の住民向けドローン輸送サービス概要(2024年2月現在)

【救援物資】 防災・災害対応

 発災時、孤立集落等における必要物資要請に基づき、防災備蓄品等の救援物資を緊急輸送する。
古仁屋→被災地(例:久慈、西阿室地区)

【医薬品】地域医療の維持

 薬剤師による患者(与路島)への定期的な処方薬配達について、その一部をドローン輸送する。
古仁屋→与路僻地診療所・患者 月1回(木曜 午前)

【日用品】海上輸送による遅配・欠配を補完

給食食材 :与路島、請島の小中学校への定期的な食材(生鮮食品含む)の配送について、その一部をドローン輸送する。
古仁屋→与路小中学校 月4回(木曜・金曜 午前)
古仁屋→池地小中学校 月2回(木曜 午前)

新聞 :与路島、請島への定期的な新聞(朝刊)配送について、その一部をドローン輸送する。
古仁屋→与路島 購読者 月4回(木曜・金曜 午前)
古仁屋→請島 購読者 月2回(木曜 午前)

運航概要

【使用機体】
ヤマハ発動機製「FAZER R G2」1機
最高速度:72km/h
搭載可能重量:15kg(貨物自動切り離し装置使用時)
飛行可能風速:~平均10m/s

【運航ルート】
手安ヘリポート(古仁屋から北西に2.1km地点)↔︎ 与路港(18km/片道、約30分)
手安ヘリポート ↔︎ 池地港(15km/片道、約25分)

【運航形態】
目視外・遠隔運航(衛星通信・LTE使用)
レベル3.5飛行