2024年2月9日、NTTコミュニケーションズ(以下NTT Com)は、スマートホテルソリューションに、サービスロボットとの連携、音声認識機能を新たに追加することを発表した。これにより、宿泊業界におけるインバウンド需要増加や人材不足等への対応のほか、新しい宿泊体験を提供することで、従業員・宿泊客の満足度を向上させるとしている。

 同社は、宿泊施設の運用に関わるシステムをまとめて構築し、コンサルから運用・保守まで一元的に提供する、データ利活用型のスマートホテルソリューションを提供している。宿泊施設の客室制御盤(※1)に客室制御/情報管理システムを連携させることで、宿泊者の在室状況のリアルタイム把握により、照明・空調制御や清掃タイミングを可視化する。

 日本国内の観光需要はコロナ前(2019年)の約8割まで回復し、今後さらなる増加が見込まれる。一方、宿泊業界は人材が不足し、多言語対応のできるスタッフの確保も難しいという課題がある。

 そこで、同ソリューションに、新たにサービスロボット連携と音声認識機能を追加。清掃・警備・運搬などの業務を自律走行ロボットが担うことや、宿泊客からの各種リクエストへの対応、客室設備の制御を音声認識で行うことが可能となる。

※1 客室制御盤:客室内の照明や空調、カーテン開閉、各種センサーによる在不在検知など、客室設備の制御や客室内の状況の把握を行うための設備。

【サービスロボットとの連携】
 複数メーカー製のロボットを制御し、エレベーターや自動ドアなどのビル設備と連携した自律走行を実現する「Smart Data Platform for City」を活用することで、階をまたいだ宿泊者の案内など、さまざまな業務をサービスロボットが担う。

① ルームサービス
 インルームダイニングや備品などのデリバリーをサービスロボットが行う。サービスロボットは客室制御/情報管理システムを通じて客室内設備と連携しており、チャイムの鳴動やディスプレイへのメッセージを通じて宿泊客に到着を知らせる。

② ポーター
 宿泊客の到着・出発時の荷物の運搬業務をロボットが担う。宿泊客に随行する、あらかじめ指定した時間に到着するなど柔軟な対応を行う。

【音声認識】
 宿泊客との接点(UI)にタブレットやIPTV(※2)などに加え、スマートスピーカーなどを活用した音声認識機能を追加することで、幅広い業務を自動化する。

※2 IPTV:インターネットに接続されたテレビ。テレビ、ビデオオンデマンドのほか、館内インフォメーションや各種サービスを提供する。

① オーダーエントリー
 ルームサービスなどの宿泊客からのリクエストを音声認識で受け付け。リクエストは客室制御/情報管理システムを通じてオーダー管理システムに登録され、その他の方法で受け付けたリクエストとともに一元的に管理できる。多言語対応可能なスマートスピーカーなどと連携することで、インバウンドの宿泊者もタブレットなどの操作を介さず各種リクエストを依頼することができる。

② 客室設備の制御
 従来はスイッチやリモコンなどで操作していた照明、空調、カーテンなどの客室設備を音声で操作。インバウンドの宿泊者や目の不自由な人、車いすユーザーなどにバリアフリーで利便性の高い室内環境を提供する。

 今後、NTT独自の生成AI大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi」を活用した宿泊客からの予約・問い合わせなどのカスタマーフロント業務の高度化による新たな顧客体験の提供や、Smart Data Platform for Cityとの連携強化による宿泊施設運営の省人化・効率化、省エネルギー化への貢献を目指すとしている。