KDDIスマートドローンなど、長野県小谷村でドローン配送実証実験

　2024年1月29日、長野県小谷村、北アルプスドローン協会、KDDIスマートドローン、NEXT DELIVERYは、2024年1月23日に同村において、地域課題解決に向けたドローン実証実験を実施したことを発表した。

　小谷村は、北アルプスに囲まれ2つの国立公園を有する自然豊かな観光地である。一方、2020年時点で高齢化率は38％超と高齢化が進展し、買い物弱者・交通弱者の増加が課題となっている。また、2023年度から「小谷村地球温暖化対策実行計画」を開始し、2030年までにゼロカーボンを実現するために「再生可能エネルギーの地産地消の推進」「省エネ対策によるエネルギー使用量の削減」「森林管理の促進による森林吸収量の伸長」「森林吸収量の一部のクレジット化」を挙げ、脱炭素促進事業を推進している。

　今回の実証では、物流課題解決・脱炭素推進に向け、新たな配送手段としてドローン活用の可能性を自治体と民間企業で検証した。

実施内容

　実証では、奉納温泉地区において、災害により道路が寸断した場合の緊急物資配送を想定し、非常食や防災用品をドローンで配送する「災害時の孤立地域発生」の課題解決について検証を行った。

　非常食や防災用品で構成される「緊急物資セット」（約1.5kg）をドローンに載せて、離陸地点の小谷村診療所から奉納温泉まで、片道約4.2kmを約9分で配送した。

荷物をセットする様子（小谷診療所）

荷物を搭載して離陸するドローン（小谷診療所）

奉納温泉に到着する物流専用ドローン「AirTruck」

　実証実験では、エアロネクストとACSLが共同開発した物流専用ドローン「AirTruck」を用いて、レベル2飛行（無人地帯上空での目視内自律飛行）を行った。機体制御には、モバイル通信を用いて機体の遠隔制御・自律飛行を可能とする「スマートドローンツールズ」（KDDIスマートドローン）の運航管理システムを活用した。

　今後、同実証を通じて抽出された課題の解決やドローン物流の事業化を目指すとしている。

（左から）北アルプスドローン協会 相澤恭介氏、小谷村村長 中村義明氏、KDDIスマートドローンソリューションビジネス推進2部部長 森嶋俊弘氏、NEXTDELIVERY企画グループグループ責任者 近藤建斗氏