千葉県君津市とセイノーホールディングス(以下、セイノーHD)、エアロネクスト、NEXT DELIVERY、KDDIスマートドローンは、2024年1月14日に、君津市の清和地区において次世代高度技術の活用による新しい物流サービスの構築を目指した「中山間地におけるドローン配送」の実証実験を実施し、報道関係者に公開した。

 2023年11月に同市とセイノーHD、NEXT DELIVERYの親会社であるエアロネクスト、テラ、KDDIスマートドローンの5者は、ドローンを含む次世代高度技術の活用による地域共創に向けた連携協定を締結し、新たな物流のビジネスモデル構築を目指し、連携を行っている。

 今回の実証実験は、NEXT DELIVERYとKDDIスマートドローンが連携し、セイノーHDとエアロネクストが推進するドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流SkyHubの社会実装の検討に向けて行ったもの。清和地域の拠点となる複合施設に仮設のドローンデポ(※1)を設置し、日用品のドローン配送サービスを実施した。

 なお同実証実験は、環境優良車普及機構により、令和4年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金交付対象事業(社会変革と物流脱炭素化を同時実現する先進技術導入促進事業)に採択されている。

※1 既存物流とドローン物流の接続点に設置する荷物の一時倉庫・配送拠点。

(左から)KDDIスマートドローン代表取締役社長 博野雅文氏、エアロネクスト代表取締CEO/NEXT DELIVERY代表取締役 田路圭輔氏、君津市長 石井宏子氏、セイノーHD執行役員 河合秀治氏
商品を配送した物流専用ドローン「AirTruck」
ドローンで配送された品物を確認する様子

 君津市は、都心に隣接した立地でありながら、人口は減少傾向にある。また、中山間地域の清和地区や上総地区の老年人口(65歳以上)は50%を超え、今後も上昇することが見込まれており、高齢者の買い物支援が地域課題となっている。さらに、物流の2024年問題の影響により、中山間地域における輸配送の質の維持が困難となり、地域住民の利便性の低下が危惧されている。

実施内容

 今回、清和地区において、地域課題の一つである中山間地域における買い物支援等の新たな取り組みに向け、住民の理解度向上、定期飛行に向けた課題の洗い出しを目的として、買い物代行配送サービスの実証実験を行った。

 清和地区に住む1世帯を対象に、子供が風邪をひいて親が買い物に出かけられない状況を想定し、子ども向けの緊急物資輸送を実施した。同地域の拠点となる複合施設を仮設のドローンデポとして、宿原地区まで日用品をドローンで配送する。

 清和公民館から宿原青年館まで、子供の風邪を想定した日用品、ドリンクなどの詰め合わせをドローンにより配送した。片道約7kmの距離を約21分で届けることができた。

 配送には、エアロネクストがACSLと共同開発した物流専用ドローン「AirTruck」を使用し、機体の制御には、モバイル通信を用いて機体の遠隔制御・自律飛行を可能とする「スマートドローンツールズ」(KDDIスマートドローン)の運航管理システムを活用した。

ドローン配送した日用品やドリンクなどの詰め合わせ