2023年10月5日、東洋製罐グループは、ドローン用の遠隔型スプレー缶噴射装置「SABOT-3」および閉鎖系スフェロイド培養形成用容器「ウェルバッグ」が、2023年度グッドデザイン賞を受賞したことを発表した。

 日本デザイン振興会が主催するグッドデザイン賞は、1957年に創設された総合的なデザイン評価・推奨の仕組み。デザインを通じて産業や生活文化を高める運動として、国内外の多くの企業やデザイナーが参加している。

ドローン用遠隔型スプレー缶噴射装置「SABOT-3」

 ドローン用の遠隔型スプレー缶噴射装置であるSABOT-3は、ドローンに搭載することで、空中からスプレー缶の噴射が可能となる。これまで空撮が主な用途であったドローンに対し、新たに作業力を与えることで、足場レスの高所作業を実現する。

 防錆剤やコンクリートの表面含浸材による構造物の軽補修作業や、点検時のマーキング作業、忌避剤による鳥害対策など、スプレー缶を交換するだけで幅広い目的で使用することができる。

 スプレー缶を追加搭載できる補助噴射装置「増槽」を取り付け、噴射容量を増大させることも可能。

【審査員のコメント】

 作業的役割をドローンに与え、細かい調整を重ねながら、使いやすくシンプルな設計で実現している。人と機械の共存・協力が必要になる時代背景のなか、このような取り組みはますます求められるだろう。

▼ドローン用遠隔型スプレー缶噴射装置「SABOT-3」製品サイト
https://www.flying-aerosol.com

閉鎖系スフェロイド培養形成用容器「ウェルバッグ」

 世界中で実用化に向けた研究・開発が行われている再生医療の分野において、iPS細胞をはじめとしたさまざまな細胞でのスフェロイドの形成には、一般にプレートやディッシュなどの開放系の培養容器が使用されるが、より効率的で使い勝手がよいものが求められていた。

 同社の長年の容器開発技術やノウハウを活用することにより、高効率かつハンドリング性に優れ、スフェロイドの培養・形成・回収までを可能とした閉鎖系細胞培養用容器「ウェルバッグ」を開発、実用化した。

【審査員のコメント】

 閉鎖環境でスフェロイドを形成するための画期的な培養バッグである。特に高く評価されたのは、1)均一なスフェロイドを超・効率的に形成できる、2)環境へも配慮した意匠、3)さらには研究開発から大量生産に向けたスケールアップまで対応可能、という点である。まさに産業振興に資するグッドデザインとして、お手本としたい象徴的なデザインである。今後の社会実装に伴う更なる進化を期待してやまない。

▼閉鎖系スフェロイド培養形成用容器「ウェルバッグ」製品サイト
https://jp.open-up.tskg-hd.com/ideas/wellbag/