2023年9月15日、野村不動産ホールディングス(以下、野村不動産HD)とオカムラは、オフィスビル1棟全体で掃除ロボットとエレベーターを連携して自律自動の清掃業務を行う実証実験に着手したことを発表した。

 同実証では、掃除ロボットとエレベーター等の設備連携、複数台のロボット管理、段差や傾斜路の走破、壁際清掃といった掃除ロボット活用における課題の整理を実施する。稼働中のオフィスビルで実証を行うことで、掃除ロボット活用と人的な清掃業務の最適なオペレーション構築を目指す。

 今後はオフィスビル1棟全体での掃除ロボット活用を目標に、同実証を通して複数台のロボットのエレベーター連携や一元管理、災害時対応の検討を進めるとしている。

実証実験の様子
使用した掃除ロボット「STRIVER(ストライバー)Ⅱ」

掃除ロボットが自律的にオフィスビル全体の清掃業務を行うための課題

 昨今の清掃業界の労働力不足や、清掃員の高齢化といった社会的背景を受け、掃除ロボットの活用が注視されている。

 野村不動産グループの野村不動産アメニティサービスでは、掃除ロボットを活用した清掃業務を一部のオフィスビルで実施しているが、掃除ロボットが自律移動してオフィスビル1棟全体の清掃業務を行うには、「走破性能」「清掃性能」「エレベーターや防火扉等との設備連携」等の複数の課題があった。

実証実験の概要

 実証実験は「予備実証」と「本実証」の2段階で行う。使用機材は、業務用掃除機を搭載して搬送し、自律走行して床掃除を行う業務用掃除ロボット「STRIVER(ストライバー)Ⅰ・Ⅱ」を導入した。通路の段差や傾斜の走行が可能で、壁際1cmまで接近して床掃除ができる。エレベーターをはじめとした施設設備とのシステム連携によって、清掃範囲を数フロアだけではなくオフィスビル1棟全体への拡大を目標としている。

 さらに、掃除ロボットの効率的な運用と、清掃員による人的な清掃オペレーションの最適な組み合わせを構築することで、さらなる清掃サービスの品質向上と業務効率化を目指す。

予備実証の結果

 掃除ロボットとエレベーターの連携によって、清掃員が手動で移動させることなく、掃除ロボットが自律的にフロア移動できた。清掃員の監視外でロボットが独立して清掃業務を実施、清掃性は清掃員の掃除と遜色なく、かつフロアの段差も走行できることを確認した。

 オフィスワーカーとユーザーである清掃員へ、安全性等に関するアンケートを実施。走行中の掃除ロボットが通行人の妨げや、ロボットの清掃音が業務の妨げにほぼならないことがわかった。

<予備実証時のアンケート結果>
 オフィスワーカー31名にアンケートを実施。


 予備実証では、本実証に向けてオフィスビルの数フロアにおいて掃除ロボットとエレベーターを連携した。本実証では、範囲をビル1棟全体に拡大することで、複数台のロボットのエレベーター連携や一元管理、災害時対応の検討を進めるとしている。