エンタープライズ向けドローン「Skydio X10」

 2023年9月21日、Skydioはエンタープライズ向けドローン「Skydio X10(スカイディオ・エックステン)」の販売を、2023年9月20日(米国時間)に開始したことを発表した。

 Skydio X10は、最新のデータキャプチャ用カメラを搭載しているほか、これまでにない高い自律性を備えている。汎用性が高く、エネルギー、公共、輸送、建設、通信などさまざまな業界に対応する。

 自律飛行技術だけでなく、ユーザーが求めるデータを柔軟に取得できるようセンサーを機体と組み合わせることが可能。従来のマニュアル操作に加え、自律飛行技術により、これまで困難とされてきた規模や範囲での飛行ミッションを遂行できる。

「Skydio X10」特長と機能

「Skydio X10」製品紹介動画

高解像度カメラ

 カスタム設計の高解像度カメラを搭載。48メガピクセル(4,800万画素)のズームカメラを備え、約244m(800フィート)の高さからナンバープレートを読み取ることができる。50メガピクセル(5,000万画素)の広角カメラも搭載し、コンクリートにある0.1mmの亀裂などを検出する。さらに、解像度640×512ピクセルの「Teledyne FLIR Boson+」の放射分析サーマルカメラを内蔵。点検作業中の温度差計測や、暗闇での行方不明者の捜索などにも活用可能だ。

汎用性の高い機体

 耐久性と適応性を考慮したモジュラー型(組み合わせ型)の機体設計。4つの貨物収納スペース(ペイロードベイ)と、交換可能なジンバルセンサーのセットを備えており、IP55規格に準拠した耐候性を持つ。さまざまな接続方法に対応する「Skydio Connect(スカイディオ・コネクト)」を搭載し、再設計されたポイント・ツー・ポイント接続(2カ所を1対1で結ぶ接続方式)、さまざまな通信が干渉したり滞ったりする環境に対応できるよう設計されたマルチバンド接続(複数の異なる周波数帯域を使用した接続方法)、そしてモバイル通信が可能であれば無制限の範囲で使用できる5GおよびLTEの中から、接続方法を選ぶことができる。

AIを活用した自律飛行技術

 AIによりコンピュータの処理能力を10倍向上させ、10倍の高精度を実現したカスタム設計のナビゲーションカメラを活用することで、より確実に飛行し、厳しい条件下でも障害物により近接して障害物を回避する。暗い環境でも自律飛行が可能になる新機能「Night Sense(ナイト・センス)」が加わり、光が一切ない場所でも業務を遂行できる。既存のソフトウェアであるSkydio 3D Scan(スカイディオ・スリーディースキャン)やOnboard Modeling(オンボード・モデリング)と組み合わせ、リアルタイムの環境マッピングと完全自動のモデリングを実現するAIエンジン「Skydio X10 Spatial」も新たに追加された。

照明がない環境で自律飛行する様子

可搬性の高さ

 折りたたむことでコンパクトになり持ち運びがしやすく、収納している状態から40秒もかからず飛行させることができる。

折りたたんだ状態の「Skydio X10」

活用事例

Drone as First Responder(初期対応としてのドローン)

 非常にコンパクトで使いやすいため、すべての巡回警官に分配が可能。5G/LTE機能により、遠隔地点からドローンを起動させたり、その他の操作を行ったりすることができる。状況認識やあらゆる任務の支援で活躍する。

重要インフラの点検

 電力をはじめとするインフラ設備の点検では、高度なセンサーと障害物回避機能により電磁干渉のある厳しい環境下でも安全な飛行が可能。高い精度で故障や欠陥を検出できるため、同製品に搭載されているAI機能による将来的な自動点検の実現性が期待される。

インフラ点検の様子

▼「Skydio X10」製品ページ (英語)
https://www.skydio.com/x10