2023年7月6日、国土交通省航空局は、「無人航空機操縦者技能証明に係る行政処分に関する基準」の制定(案)について、パブリック・コメントの募集を開始した。募集期間は2023年7月6日から8月5日まで、2023年8月中旬以降の公布・施行を予定している。
無人航空機操縦者技能証明(以下、技能証明)の取り消しおよび効力の停止並びに技能証明を受けた者に対する行政指導などの行政処分等を公正かつ適切に行うために、必要な基準を定めるとしている。
技能証明に係る行政処分および行政指導の内容は、処分事由に対応する点数を基本として、「処分等区分表」によって決定する。複数の処分を行う場合は点数を合計する。過去(5年間)に処分等履歴がある場合は、「過去に処分等を受けている場合の取扱表」の区分に従って点数を加重する。また、事情があると認められるときは、個別事情による点数の加重・軽減もある。なお、第三者の死亡、重傷、複数の第三者の負傷が生じた場合は、違反点数にかかわらず技能証明を取り消しまたは効力を停止する。
処分等区分表は、以下の内容となる。
点数 | 処分等の内容 |
---|---|
1~2 | 口頭注意 |
3~5 | 文書警告 |
6~8 | 技能証明の効力の停止3月 |
9~11 | 技能証明の効力の停止6月 |
12~14 | 技能証明の効力の停止1年 |
15~ | 技能証明の効力の取り消し |
点数と処分事由は、以下の通り。
15点
・ 事故が発生した場合に危険防止措置を講じない
・ アルコール・薬物の影響下での飛行
・ 機体認証において指定された使用の条件の範囲を超えた特定飛行
・ 飛行計画の変更指示に従わない飛行
14点
・ 限定をされた技能証明を受けた者による限定外の種類・方法での特定飛行
・ 条件付きの技能証明を受けた者による条件の範囲外での特定飛行
・ 飛行禁止空域での飛行等
・ 飛行前確認・衝突予防措置を行わないこと
・ 他人に迷惑を及ぼすような方法での公共の場所の上空での飛行
・ 夜間・目視外・30m未満・催し上空飛行
・ 危険物輸送
・ 物件投下
・ 飛行の方法について承認外での飛行
・ 夜間・目視外・30m未満飛行において安全確保措置を講じないこと
・ 飛行計画を通報しない特定飛行
13点
・ 整備命令に違反した特定飛行
12点
・ 無人航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為
8点
・ 機体登録を受けていない機体の供用
・ 登録無人航空機の是正命令に違反した機体の供用
7点
・ 航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為を事前に通報しない又は虚偽の通報を行うこと
6点
・ 事故発生時の報告をしない又は虚偽の報告を行うこと
・ 特定飛行を行う場合に飛行日誌を備えないこと
・ 特定飛行について飛行日誌の不記載・虚偽記載
・ 立入検査の拒否等
3点
・ 特定飛行時に第三者が立ち入った場合に必要な措置を講じないこと
1点
・ 登録記号の表示されていない登録無人航空機の供用
・ 機体認証を受けずに法第132条の13第8項の表示又はこれと紛らわしい表示を付すこと
・ 型式認証を受けずに法第132条の19第2項の表示又はこれと紛らわしい表示を付すこと
・ 技能証明書不携帯での特定飛行
・ 登録事項の変更の届出を行わない又は虚偽の届出を行うこと
・ 登録の抹消申請を行わないこと
1~10点
・ 飛行に当たり非行又は重大な過失があったとき