2023年7月14日、バウンダリ行政書士法人は、ドローンの国家ライセンス(無人航空機操縦者技能証明)制度における登録講習機関の外部監査を行う「登録講習機関等監査実施団体」(以下、監査実施団体)として国土交通省より認定されたことを発表した。

 ドローンの関連許認可申請やソリューション開発を専門とする同法人は、登録講習機関のスクール開設から維持管理に必要な監査までワンストップでの支援が可能になり、より信頼性の高い統合的なサポートを提供するとしている。

 ドローンの国家ライセンス制度の運用が2022年12月より開始され、ドローン操縦に関する国家資格(一等・二等)を取得するパイロットが増加している。

 登録講習機関として承認されたドローンスクールは、国家ライセンスの取得に必要な講習を行い操縦者を育成する “教習所” としての役割を担っている。現在449の法人が登録講習機関として国土交通省より登録されており、国家ライセンス取得のための講習・修了審査を実施している。

 登録講習機関は国家資格に関する講習を運用し続けるために、毎事業年度ごとに外部監査を受けることが義務づけられている。監査の主な目的は、登録講習機関として国家資格に関する講習や修了審査が適切に行われているかを検査し、登録講習機関の運用を標準化させることにある。

外部監査の概要

監査の種類

 監査には「計画的監査」と「随時監査」の2種類がある。

計画的監査

 計画的監査は、毎事業年度に1回実施することが規定されている。初回(1年目)は登録講習機関として登録されてから1年以内を指し、講習開始後ではなく講習開始前の準備期間も含まれる。

 1、2年目の計画的監査は実地監査またはオンライン監査での実施が可能。登録講習機関の有効登録期間の最終年度に当たる3年目は必ず実地監査を受ける必要がある。なお、ISO9001(国際規格:品質マネジメントシステム)を取得・維持している場合には、認証書等の必要書類を国に提出することで書類監査のみに省略が可能。ただし3年目には実地監査を受ける義務がある。

随時監査

 随時監査は、必要に応じて実施される。最近の事故・重大インシデントや行政処分等の状況、講習事務運営上のトラブル発生状況・傾向、過去の監査状況、無人航空機業界の環境の変化などを総合的に考慮し、共通確認事項と実情に応じて個別の確認事項を定めて実施される。

監査対象

 監査の対象は原則、登録講習機関として登録されている「本社」と講習を運営する「事務所」となり、本社と講習事務所が同じ住所であっても本社と講習事務所それぞれの監査を受ける必要がある。また、登録講習機関として登録済みで稼働(運営)していない場合も監査の対象となる。

監査の流れ

 監査実施団体による登録講習機関の外部監査は、登録講習機関が監査実施団体へ依頼する必要がある。事前に監査に必要な情報や書類を監査実施団体へ提出した後に監査が実施される。監査実施後日に監査実施団体が登録講習機関へ通知した「監査報告書」を、登録講習機関から国土交通省へ提出して監査完了となる。

監査の主な内容

 監査内容は、登録講習機関の基本的な情報から資料の管理状況や運営体制、講習内容、修了審査に係る事項まで運営の広範囲におよぶ。登録講習機関として、航空局へ提出・承認された事項に則り、適切に運営されているかを判定する。

登録講習機関等情報(実施計画書)
各種資料の管理状況(入学申請書受理記録・講習料金収納記録・講習記録簿・修了証明書発行台帳等)
管理者および副管理者(登録者情報の確認等)
講師および修了審査員(登録者情報の確認等)
講習の運営状況(学科/実地講習の内容や時間数・飛行許可申請等)
修了審査の実施状況(審査方法や判定、修了審査結果記録)
※一部抜粋

 規定期間までに監査を受けていない登録機関は、国交省から改善命令が下る。これに従わなかった場合は、登録の取り消しまたは業務停止の処分を受ける可能性がある。

▼登録講習機関等監査実施細則(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/koku/content/001598307.pdf