2023年6月26日、mmガードは、二輪・四輪車用クラッチメーカーで、ドローンを中心とした新規事業開発を推進するエフ・シー・シー(以下、FCC)と、資本業務提携することに同意したことを発表した。

 mmガードがAI製品の開発を、FCCが販売・サポートを担当することで、mmガードの社内リソースを開発分野に集中し、開発スピードを加速させる。

 同提携により、ドローンによる太陽光発電所のパネル点検や鉄道インフラ点検などを効率化するAI「Drone View」の普及を加速し、安全で効率的な点検業務を実現するとしている。

 また、FCCが協業先と開発中である高ペイロード・長時間飛行が可能なドローンと組み合わせ、バッテリードローンよりも広域・長距離・長時間の点検や、高度なセンシングソリューションの実現を目指す。

教師なし学習モデルの深層学習で異常を見つける「Drone View」

 Drone Viewは、教師データが少ない分野での異常検知を目指し開発したAI。教師なしで学習を進めることで、正常画像の準備だけで異常部分を発見する。

 写真撮影にドローンを活用することで、太陽光発電所などの広大なエリア、鉄道インフラなどの長距離、送電線・ダム・携帯基地局などの高所点検も作業員の危険を伴わずに効率的に実施することができる。

【教師なし学習の特徴】

教師なし学習教師あり学習
教師データ(アノテーション)不要必要
開発期間
モデル開発の難易度

「鉄道インフラ点検AI」の開発

 同社は、2021年3月に鉄道事業を廃止したJR北海道の日高線(鵡川~様似間)の廃線跡地を活用して、鉄道インフラ点検AIの開発を進めている。線路上の障害物発見AIについてはすでにベータ版が完成しており、新たに利用を開始する廃線区間を活用してその性能を向上させる。

 廃線区間は橋梁やトンネルを含む長距離飛行が可能な細長い連続した土地となるため、自社AIソフトウェアの開発に利用するだけでなく、国産ドローンの機体開発試験場・国家ライセンス取得に向けた試験場としても提供するとしている。

 FCCとの業務資本提携のもと、まずは太陽光発電所の保守点検業務のDX化を進めていくほか、JR北海道の跡地を利用した鉄道インフラ点検用AIの完成や、電力会社などが設置する風力発電のブレード点検用のAI開発を進めていくことで、Drone Viewの活用範囲を拡大するとしている。