2023年6月20日、ゼンリンデータコムと三井E&Sは、ドローン自動飛行点検ルート生成アプリケーション「ドローンスナップ」の開発を開始したことを発表した。インフラなどの設備点検・巡視に対して、ドローンが飛行から撮影まで一貫して自動で行う「自動飛行ファイル」を生成する。

 両社は2020年度から港湾クレーンの構造物外観目視点検を対象に、ドローンが自動で飛行して対象箇所を撮影する技術を構築してきた。同技術を集約し、汎用的なPCアプリケーションの開発に着手。同アプリにより、誰でも手軽に高品質で、ドローンを用いたインフラ等の設備点検や巡視が可能になるとしている。なお同アプリは、今年度中のサービス提供開始を予定している。

「ドローンスナップ」の設定画面(開発中)。

 これまで港湾クレーンなどの目視点検作業は、作業員が目視で実施しており、クレーン停止期間の長期化やコスト、安全面、検査結果のばらつきなどの課題があった。

 この課題に対し両社は、ドローンの活用に関する検討を開始した。従来、点検や巡視にドローンを活用する場合、その多くを手動操縦で実施するため、撮影画像の品質が操縦者の技量に依存することや、点検時間の短縮が見込めないといった問題点があった。

 同アプリは、対象物の3Dモデルを読み込み、CG上で点検・巡視の際に確認すべき箇所に対して、事前に撮影したい画像の画角やズーム倍率を設定できる。事前設定した情報は、ドローンの自動飛行ファイルとしてアプリからファイル出力が可能。このファイルに対応するドローンに読み込ませることで、CG上で事前に設定した通りの自動飛行・自動撮影を行う。

「ドローンスナップ」のイメージ。飛行前に設定した予定画像と撮影結果画像(実証実験時に撮影)。

 飛行および撮影は全て自動で実行されるため、操縦者の能力に依存することなく常に同画角で安定した品質の画像を取得でき、点検対象物の定点観測にも対応する。

 港湾クレーン点検で構築した技術を集約した同アプリは、同様の課題を持つインフラ設備などの目視点検や巡視に広く応用が可能だとしている。

ドローン点検紹介動画(ゼンリンデータコム)