2023年5月15日、東京農業大学は、ドローンを用いた「クロツチクジラ」の群れの撮影に成功したことを発表した。

 クロツチクジラは2019年に新種として記載されたハクジラ類で、生息域が限定されており、洋上での浮上時間が短い上、警戒心も非常に強く船舶で接近することが難しいため観察例が少ない種だという。

クロツチクジラの撮影動画(東京農業大学 YouTubeチャンネル)

 同大学 生物産業学部 海洋水産学科の小林万里教授と研究員の小林駿博士、あばしりネイチャークルーズの生田駿氏による調査チームは、網走港から北東に約20kmの網走海底谷と呼ばれる海域で、5頭と3頭からなる少なくとも2群(3回)の撮影に成功した。

 オホーツク海には同じツチクジラ属の「ツチクジラ」が同所的に生息しているが、黒っぽい体色、体長に対する吻(口先)の長さが短く、吻部が白いこと、体長がツチクジラと比べて有意に小さいといった特徴から、クロツチクジラであると同定した。

 今後、撮影した映像などをもとに、同種の行動や群れの組成について研究を進めていくとしている。

クロツチクジラの群れの発見位置(☆)。細い線は10m間隔の等深線、太い線は100m間隔の等深線。
ドローンで撮影したツチクジラ(左)とクロツチクジラ(右)の比較。