2023年4月27日、DRONE PILOT AGENCYは、愛媛県今治市の令和4年度鳥獣被害防止総合対策事業を受託し、ドローンを活用したイノシシの生息状況調査を行ったことを発表した。

 狩猟罠開発・販売を行うアポロ販売や、地元の獣医大学と生息状況調査を実施。フィールド調査や地域ヒアリングに加え、ICT機器やドローンを活用することで、効果的な被害防除につながるデータの取得が可能であることがわかった。

 赤外線カメラを搭載したドローンによって一定の生息状況を把握し、イノシシの侵入経路や住処、群れや個体も推測できるデータを取得した。これにより、イノシシによる農作物への被害を減らす対策を講じることができる。

 今治市伯方島では、農業被害を及ぼすイノシシの問題が深刻化している。農業は島の主要産業であり、イノシシの被害によって作物の収穫量が減少し、大きな経済的損失となっている。

 DRONE PILOT AGENCYはドローンを使用したイノシシの生息状況の調査について実証実験を重ねており、2019年12月には伯方島でもドローンを飛行させて実験を行ってきた。その結果、侵入経路や住処の特定、群れの発見や生息分布図の作成にドローンが効果的であることが分かったという。

 今回は伯方島で被害が出ている5つの地点において、以下の要点で生息状況調査を実施した。

地域住民や猟友会への事前ヒアリング
フィールド調査による痕跡確認
ICT機器によるイノシシの生息状況確認
ドローンによるイノシシ生息推測地域のオルソ画像作成
赤外線カメラ搭載ドローンによる夜間イノシシ捕捉

 使用したドローンはDJIの「Inspire 1」。機体には夜間や暗い場所でも撮影可能な赤外線カメラ「Zenmuse XT」を搭載した。GPSにより位置情報を正確に把握し、イノシシの場所を記録することができる。

 事前のフィールド調査結果をもとにイノシシの観察地点を決定し、赤外線カメラを使用して観察を行った。その結果、5カ所中4カ所で複数のイノシシを発見し、親子連れも確認することができた。また、イノシシが通る道を特定したため、侵入経路や住処の推測が可能になる。

 同社はこのデータを活用することで、イノシシによる農作物への被害を減らす効果的な対策につなげることができるとしている。