2023年5月12日、トルビズオンは佐賀県猟友会多久支部と、ドローンを活用したイノシシ被害対策を実施するための「空の道」を敷設し、イノシシ罠見回りのドローン定期巡回を目的とした実証実験を、同月から実施すると発表した。

 実験期間は2023年度~2024年度。多久市内の森林において実施する。ドローンを活用することでイノシシ罠の見回り作業の効率化を図り、持続可能な鳥獣被害対策モデルの構築を目指す。

 実証では、ドローンの自動飛行によるイノシシ罠の見回りを実施。山全体の3Dデータを事前に取得、飛行空域のリスクアセスメントを行い、ドローン空路データを設定する。次に、罠の設置地点の緯度経度情報をドローンに登録し、動画・サーモカメラによる自動撮影を実施。険しい山奥に点在する多数の罠にイノシシがかかっているかどうかを効率的に確認する。使用機体は「DJI Matrice300 RTK」。

 見回りの効率化により作業負担を軽減し、イノシシ捕獲のタイミングを最適化することで、農作物被害の抑制と農家の経済的負担の軽減を図る。

 両者は試験的にドローンを活用したイノシシ罠の見回りを行い、今後もその効果を検証する。第1回目の実験では狩猟エリアの地形の三次元データ化に加え、罠の位置をドローンの飛行システムに記憶させ、空路データを保存。今後の利活用につなげるとしている。

狩猟エリア全体の3Dモデルを取得し、空路のリスクアセスメントを実施
イノシシ罠
多久市内山林にドローンが着陸する様子
罠の場所に向かうドローンの位置情報
罠を設置した場所(GPSの位置情報を記録し自動飛行)

 佐賀県猟友会多久支部は、高齢化や人手不足が進行する中、イノシシ被害への対策としてドローンを活用した取り組みを検討している。今回の実験により、狩猟現場でのドローン活用の効果が確認できたことから、今後もデモ飛行等を繰り返し、鳥獣駆除現場でのドローン事業化を目指すとしている。

 また、今回構築したドローン空路は、罠の巡回や森林調査で使用しない時間帯については、将来的に山間部の災害調査や操縦訓練、過疎地へのドローン配送、空飛ぶクルマなどの空路として活用することも計画している。

佐賀県猟友会多久支部とトルビズオンのメンバー