2023年4月18日、ソニーグループは、プロフェッショナル向けドローン「Airpeak S1」を産業用途に活用できる新商品の発売を発表した。

 Airpeak S1は、独自開発のモーターやプロペラ、制御システム、センシング技術などにより高い敏捷性を有し、ダイナミックかつ緻密な飛行が可能。フルサイズミラーレス一眼カメラα(Alpha)により高解像度撮影を行うことができる。

 新商品は、センチメートル単位での高精度位置測位を可能とするRTK(Real Time Kinematic)キット、これまでより長い時間の飛行に対応するバッテリーパック、軽量化したGremsy社製の専用ジンバルPX1 for Airpeak。

商品名型名販売価格(税別)発売日
RTKキットRTK-154万円2023年5月
バッテリーパックLBP-HM14万5,000円2023年5月
ジンバル PX1 for AirpeakGBL-PX148万円2023年4月

 Airpeakは最新のシステムソフトウェアのアップデートに伴い、Cinema Lineシリーズ最小最軽量のフルサイズセンサー搭載カメラ「FX3」とジンバルが協調してブレを補正する機能を使えるようになった。さらに今回、Airpeakを産業用途へ拡張することで、高性能ドローンの可能性をさらに追求していくとしている。

産業用途向けの主な特長

正確な飛行と高精度なデータ取得を実現するRTK

誤差数センチの位置情報記録
 GNSSでの数メートル単位での誤差に対し、RTKを採用することでセンチメートル単位の正確な測位が可能。画像データの撮影タイミングと位置情報が高精度に同期し、イメージセンサーの中心位置にオフセットした位置情報が記録される。

強磁場環境での安定飛行
 点検対象や周囲の構造物などの影響で地磁気センサーによる機体制御が困難な環境でも、GNSSアンテナを2個搭載することにより安定した飛行が可能。

自己位置推定による正確な飛行
 RTKをビジョンセンサーと併用することで、より誤差の少ない自己位置推定を実現。減速時の機体挙動やホバリングの安定性、自動飛行の制度が向上する。再現飛行を使用すれば定期的な点検フローを高精度で何度でも再現でき、操縦者の技術に依存しない効率的な運用が行える。

撮影画像への位置情報付与機能 (2023年夏以降対応予定)
 飛行後にモバイルアプリで測位データを撮影画像にメタデータとして追加する機能に対応予定。

フルサイズミラーレス一眼α搭載による高解像撮影

 使用用途に必要な機体性能を考慮し、フルサイズミラーレス一眼α(α7Rシリーズ) ILCE-7RM4、 ILCE-7RM4A、 ILCE-7RM5に対応(GBL-PX1ジンバルを使用)。最大6,100万画素でメカニカルシャッターによるブレを抑えた画像を撮影する。レンズは焦点距離24/35/40/50mmなど豊富な焦点距離から選択することができる。

点検業務にも有効な高解像撮影
 50mmレンズを使用する場合、対象物との距離を13m離して安全を確保しても撮影分解能1mm/ピクセルの画像を撮影できる。

操作性を向上するカメラ設定
 手元の送信機からカメラの各種設定が可能。カメラを触らずシーンに応じた設定変更や調整ができ、撮影時のオペレーションを効率化する。フォーカスエリア設定やタッチによるフォーカス位置の選択にも対応する。モバイルアプリ上でフォーカス位置を柔軟に変更でき、より精度の高い撮影を可能とする。

高精度と高効率を両立する飛行性能

強風に流されにくい耐風性能
 プロペラやモーター、ESCなどの推進デバイスと飛行制御を独自開発し、最大20m/s(ペイロード無し)の耐風性能、および飛行時突風耐性15m/s(最大ペイロード時。直線飛行中に横からの突風を受けた際の移動量が1m以下である最大風速)を達成した。上空の不規則な風にも流されにくく、海岸や渓谷などの強風下においても安定飛行が可能。

長時間の自動飛行
 自動飛行を中断後に途中から再開できる機能や、機体が起動状態のままバッテリー交換が可能なバッテリーホットスワップに対応。RTKや高解像度カメラを搭載しながら飛行時間約20分(※1)を実現している。

近接防止機能と障害物ブレーキ
 鉄塔など円柱構造の点検対象物に対して自動飛行中に意図しない接近を防ぐ機能を搭載し、安全な運用をサポートする。また、前後左右のステレオカメラと上部の赤外線測距センサーのコンビネーションにより、周囲の障害物を認識。機体の挙動や周囲の状況を判断し、自動で減速・停止を行う障害物ブレーキ機能を備える。

※1 RTKキット「RTK-1」、バッテリーパック「LBP-HM1」、ジンバル PX1 for Airpeak「GBL-PX1」、デジタル一眼カメラ「α7R IV(ILCE-7RM4A)」、デジタル一眼カメラα[Eマウント]用レンズ「Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA(SEL35F28Z)」搭載、海抜0m地点、無風、巡航速度9m/s時。

国産の業務用ドローン

 Airpeakの機体は日本での量産化を実現。ソニーが製品開発を通して培ってきた高度なセキュリティ対策を施している。導入検討や利用の参考として活用できるセキュリティホワイトペーパーの提供も行っている。