2023年3月22日、鳥取県八頭町とココネット、セイノーホールディングス(以下、セイノーHD)、エアロネクスト、NEXT DELIVERY、アクシス、KDDIスマートドローンは、2023年3月20日に、中山間地域におけるドローン配送の実証実験を実施したことを発表した。コミュニティ複合施設の隼Lab.を起点として、次世代高度技術の活用により新しい物流サービスの構築を目指す。

 具体的には、セイノーHDとエアロネクストが開発推進するドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流SkyHubの社会実装の検討に向けて実施するもので、NEXT DELIVERY、KDDIスマートドローン、地元企業のアクシスが連携して行った。

共同配送の荷物と、隼Lab.内飲食店のサンドイッチ・ドリンクを載せて離陸するドローン(隼Lab.前グラウンド)
ドローン配送した共同配送の荷物とサンドイッチ・ドリンク

 人口の減少が進み、高齢者の割合も全国平均と比べて高い八頭町では、今後も急速に少子高齢化が進行することが予想されることから、人口減少・少子高齢化に対応したまちづくりが求められている。

 八頭町とシーセブンハヤブサおよび鳥取銀行が推進する「八頭未来の田舎(まち)プロジェクト」では、テクノロジー×コミュニティの力で人口減少社会におけるさまざまな地域課題の解決を図り、持続可能な未来の田舎を目指している。この取り組みに基づき、既存の超地域密着型生活プラットフォーム「Bird」(地域の小売店や飲食店と共に生活用品・食品・処方薬等を、同一の物流網で自社雇用の配送員が配送する地域密着型のプラットフォーム)と連携して「過疎地域等における無人航空機を活用した物流実用化事業」の実証実験を実施した。

 同実証により、町の地域課題解決、ドローン配送導入による観光産業・経済の振興、地域雇用・人材育成・地域防災へのインフラ整備および、物流事業者が抱える2024年問題において、過疎地の不効率な配送を地域の事業者、人材と連携し共同配送の仕組みを構築することで効率化を進めていくとしている。

 今回の実証では中山間地域での災害時を想定し、隼Lab.に仮設のドローデポ(※1)を設置。ドローンを用いて共生の里しこべの家、八東運動公園への救援物資、買い物代行、フードデリバリーを想定して商品の配送を実施した。

 ドローン配送ではエアロネクストとACSLが開発した物流専用ドローン「AirTruck」を使用。機体の制御には、KDDIスマートドローンが開発した、モバイル通信を用いて機体の遠隔制御・自律飛行を可能とするスマートドローンツールズの運航管理システムを活用した。

 なお同実証実験は、ココネットがプライムとなり、環境優良車普及機構より、2022年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金交付対象事業(社会変革と物流脱炭素化を同時実現する先進技術導入促進事業)として採択されている。

※1 既存物流とドローン物流との接続点に設置される荷物の一時倉庫・配送拠点。

注文を受けた食料品を配送して離陸するドローン(共生の里 しこべの家)
ドローン配送した注文の品(玉子、牛乳、鹿コロッケ等)を確認する様子(共生の里 しこべの家)
ドローン配送した非常用充電池や水、食料品などの救援物資