2023年3月13日、先端技術無人航空機トレーニングセンター(以下、AUTC)は、無人航空機(ドローン)の国家技能資格教習を北海道から沖縄県までの支部組織体制で開始することを発表した。沖縄県に国家技能資格登録講習機関ができるのは初だという。

 学科講習は24時間動画配信方式で、操縦を含む実地講習と修了審査試験は、支部や本部で受講する方式となる。これにより沖縄県の技能資格保有希望者は沖縄本島にて受講が可能となり、同県におけるドローンを使用した物流・建設・農業分野などでの生産性向上が期待される。

 沖縄本島支部は地元町長の協力もあり実現。金武町はドローン機体を災害時の運用のために導入しており、沖縄支部設置により同機体の運用が今後進むことで、沖縄県北部広域市町村圏事務組合(12市町村)での災害時の捜索や情報収集機能の向上を見込む。

 沖縄本島支部が使用するドローンの飛行実習用および修了審査用空域は、金武町屋内運動場(屋内飛行空間)と町立体育館(屋内飛行空間)、町立屋外サッカー場の3つ。

 2023年3月25日の金武町屋内運動場の落成式では、災害時の捜索や情報収集のためにも使用される産業パイロットスキル取得講座の説明やデモンストレーションなどを行う。

 自動車免許のような合宿による免許取得も企画しており、休暇で旅行をしながら実地講習と修了審査試験を受けて無人航空機技能資格を取得するというスタイルも提案する。沖縄本島東海岸の知名度向上を目指し、金武町はこれを機会にドローンを通じて地域情報発信も視野に入れるとしている。

 国家技能資格取得後(取得前でも受講可能)に活用するための産業操縦士各種講座も用意する予定だという。講師には土木工学や物理工学、通信工学、無線工学、気象工学などの専門技術者を揃え、特に生産性向上が求められる建設現場において必要となる三次元技術の基礎知識講座では、三次元データをどう活用するかまでも網羅する。

金武町屋内運動場

 また、AUTCは教育機関と連携し、東京高専ドローン研究会支部を開設している。学生など関係者のみ受講が可能で、国指定試験機関よりも安価に受講できる体制を整え、将来の人口減少に伴うドローンによる生産性向上を見据え、学生の技能資格取得を推進する。今後、東京工芸大学ドローン研究会支部(東京工芸大厚木キャンパス)も追加申請予定だという。さらに、沖縄本島支部の近隣の名護市には北部広域市町村圏事務組合が設置母体の名桜大学もあり、要望があれば連携するとしている。