2023年2月22日、岩手県と岩泉町、岩泉ホールディングス(以下、岩泉HD)、セイノーホールディングス(以下、セイノーHD)、エアロネクスト、NEXT DELIVERYは、2023年2月21日に、次世代高度技術の活用により新しい物流サービスの構築を目指した「中山間地域におけるドローン配送」の実証実験を実施したことを発表した。

 同実証は、岩手県による「令和4年度岩手県中山間地域におけるドローンを活用した地域課題解決に係る実証実験等業務」における委託業務として実施するもの。岩泉町の抱える地域課題の解決を目指し、セイノーHDとエアロネクストが開発推進するドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流「SkyHub」の技術を活用し、ドローン配送サービス事業を主体とするエアロネクストの子会社、NEXT DELIVERYが行った。

(左から)セイノーHD執行役員 河合秀治氏、岩泉町長 中居健一氏、岩泉HD代表取締役社長 山下欽也氏、岩手県ふるさと振興部 科学・情報政策室 科学技術課長 佐藤光勇氏

 岩泉町は食料品アクセス困難人口の割合が40%を超え、全国的に見ても非常に高い水準にある。今後、中山間地域の高齢化が進むことで、日常の買い物や薬の受け取りなどでの生活利便性の低下が懸念されている。

 そこで、物流サービスの維持・最適化を目指し、ラストワンマイルの輸送手段にドローン配送を組み込み、地上輸送とドローン配送を連結、融合する新スマート物流システムの導入により、買い物代行や観光資源の創出、災害時支援、医薬品配送等を行う仕組みづくりに民間企業と行政が協働して取り組む。

 今回の実証実験は、新スマート物流の社会実装に向けて、地域のドローンに対する理解浸透と、岩手県の掲げる社会実装「岩泉モデル」構築に向けた調査を目的として実施する。

ドローン配送実証実験 実施内容

 実証実験では、中山間地域での買い物支援、緊急物資支援などを想定して、岩泉町内のスーパーから旧浅内駅まで食料品をドローン配送した。スーパーから片道約3.5kmの距離を約7分で、旧浅内駅で待つ注文者(想定)に届けた。使用機体は、エアロネクストがACSLと共同開発した物流専用ドローン「AirTruck」。

商品を受け取る様子(旧浅内駅)
ドローン配送した食料品

 また、観光資源の創出を目的に、岩泉HD協力のもと、道の駅いわいずみから対岸にあるふれあいらんどまでフードデリバリーを実施。道の駅にあるレストランで調理したラーメンを注文者(想定)へ届けた。

 今後6者は地域の事業者とも連携し、町の課題や町民のニーズに沿って、新スマート物流SkyHubの社会実装に向けた検討を進め、岩泉町における地域の課題解決と活性化に寄与していくとしている。

商品を配送してドローンが帰還する様子(ふれあいらんど)
ドローン配送したラーメン