2023年1月16日、センシンロボティクスは、ドローンを活用した送電設備点検アプリケーション「POWER GRID Check」に、中部電力パワーグリッドと共同で開発した技術を活用し、送電線(架空地線・電力線)自動追跡撮影モードと多導体送電線スペーサ(以下、スペーサ)点検撮影飛行モードを実装したことを発表した。

 スペーサ向けの点検撮影飛行モードにより活用範囲が広がり、送電線をカメラが自動追跡する撮影モードを実装したことにより、さらなる効率的な点検が可能になった。また、中部電力パワーグリッドのノウハウを基に開発した機能を追加し、ユーザビリティを改善した。

送電線点検カメラ自動追跡撮影モード

 POWER GRID Checkには、送電線のたるみに沿った飛行(以下、弛度沿い飛行)ルートおよびカメラアクションを自動生成する機能が実装されているが、従来は撮影角度を手動で微調整する必要があった。
 今回新たにリアルタイムで撮影データを解析し、自動的に送電線が撮影画角内に収まるように撮影角度を調整して送電線の追跡を行うモードを実装した。POWER GRID Checkで管理されている設備情報を基に、送電線自動追跡パラメータは自動的にカスタマイズされる。特殊なセンサーなどを用いず一般的に市販されている汎用的な機体・カメラを用いるため、メーカーや機種に依存しない柔軟な運用が可能となる。

自動航行ルート生成撮影範囲カメラ制御
従来弛度沿い飛行ルートを自動生成手動で調整
リリース後弛度沿い飛行ルートを自動生成自動で調整
モバイルアプリケーションの画面

多導体送電線スペーサ点検モード

 従来バージョンのPOWER GRID Checkの送電線点検撮影飛行モードでは、電線に対しドローンが正対した状態での飛行しかできなかったため、スペーサの電線把持部が視認できない課題があった。今回のバージョンアップにより、スペーサの電線把持部が視認可能となる弛度沿い飛行制御アルゴリズムを実装し、スペーサの状態を確認できるようになった。
 今回の開発により、ニーズに合わせた(単導体・多導体)送電線の点検撮影飛行が可能となり、ユーザーはワンクリックで設定ができる。

従来の飛行で撮影
スペーサ点検モードで撮影

送電設備点検アプリケーション「POWER GRID Check」

 送電設備点検アプリケーションのPOWER GRID Checkは、鉄塔(支持物・がいし)と送電線(架空地線・電力線)を一括で自動点検することができる。特殊なセンサーなどを用いず、一般的に市販されている汎用的な機体・カメラを用いるため、メーカーや機種に依存しない柔軟な運用が可能だ。取得データはクラウド上で一元管理。物理的受け渡し工数の削減、報告書への転記が不要になるため、修繕計画の短縮を実現する。

点検撮影の流れ