2023年2月27日、奈良市とエアロネクスト、NEXT DELIVERY、KDDIスマートドローンは、2023年2月22日に、物流専用ドローンを使った荷物配送の実証実験を奈良市で実施したことを発表した。

 実証実験の同日、奈良市とエアロネクストは、ドローンをはじめとする次世代高度技術の活用により、地域課題の解決と地域発展に貢献する新スマート物流の構築に向けた包括連携協定を締結。同実証はこの協定に基づく取り組みとなる。

 セイノーホールディングスとエアロネクストが開発推進する、ドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流SkyHubの社会実装の検討に向けて実施するもので、NEXT DELIVERYとKDDIスマートドローンが連携して行った。

 なお同実証実験は、環境普及機構の「2022年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金交付対象事業(社会変革と物流脱炭素化を同時実現する先進技術導入促進事業)」に採択されている。

出発式の様子
ドローンに荷物をセットする様子

 実証実験は、東部地域の月ヶ瀬地区・柳生地区で実施する。ほとんどが山間部である東部地域は、奈良市の約6割の面積を占め、市街地と比べて少子高齢化・人口減少が進んでいる。また、生鮮食品や日用品を販売するスーパーまでの距離が遠い一方、公共交通である路線バスの運行回数は減少している。

 そこで物流の最適化を目指し、ラストワンマイルの輸送手段にドローン配送を組み込み、地上輸送とドローン配送を連結する新しい物流システムの導入を図る。買物代行や災害時支援、医薬品配送等を行う仕組みづくりを民間企業と行政が協働して取り組み、地域課題の解決を図り、住みやすい地域の構築を目指す。

 今回の実証実験では、(仮称)共助型買物サービス(※1)と組み合わせ、利用者までのラストワンマイルをドローンで配送した。

 月ヶ瀬地区では、仮設のドローンデポ(既存物流とドローン物流の接続点に設置する荷物の一時倉庫・配送拠点)とした月ヶ瀬ワーケーションルームONOONOから、仮設のドローンスタンド(ドローン物流の起点・終点に設置するドローンの離着陸のための設備・スペース)とした石打駐車場まで、片道約2.2kmの距離を約6分で配送した。
 柳生地区では、仮設のドローンデポとした旧柳生中学校から、片道約1.1kmの距離を約3分で、食品を個宅まで配送した。

 使用機体は、エアロネクストがACSLと開発した物流専用ドローン「AirTruck」。機体の制御には、KDDIスマートドローンが開発したモバイル通信を用いて、機体の遠隔制御・自律飛行を可能とする同社のスマートドローンツールズの運航管理システムを活用した。

※1 (仮称)共助型買物サービス:奈良市、日本郵政、日本郵便、Next Commons Lab、Sustainable Innovation Lab、イオンリテールの6者による、2023年2月21日から3月22日まで奈良市東部地域の一部(月ヶ瀬地区、柳生地区、東里地区)において実施する、新たな買物サービスの実証実験。日本郵便の郵便局と配達ネットワークを活用し、対象地域内でイオンネットスーパーの商品を購入可能とする。

飛行経路(ONOONO〜駐車場)
月ヶ瀬を飛行するドローン
ドローン配送した食品
物流専用ドローン「AirTruck」
各社の役割
奈良市・施策や企画の検討
・フィールドの提供
・地域住民および関係機関との調整
・周知活動
エアロネクスト・物流専用ドローン機体準備
NEXT DELIVERY・飛行オペレーション
KDDIスマートドローン・ドローン運航管理システムの提供
・ドローンオペレーションの支援