2023年2月22日、SORA Technologyとダカール・パスツール研究所(以下、IPD)は、新たな感染症の発生防止とアフリカ地方部における公衆衛生向上を目的とした、ドローンインフラ構築にかかるMOU(Memorandum of Understanding)を2023年1月30日に締結したと発表した。

 西アフリカの研究拠点として歴史と実績のあるIPDと協力して新たな感染症のアウトブレイクを防ぎ、アフリカ地方部の公衆衛生の向上、ドローン産業を担う現地人材の育成に取り組むとしている。

(左から)SORA Technology Vice CEO 梅田氏、IPD所長 アマドゥー・サル博士、IPD疫学・臨床研究データサイエンス部長 シェイク・ルクーバル博士

 現在、新型コロナウイルス感染症以外にも、新型インフルエンザやエボラ出血熱、MERS(中東呼吸器症候群)といった新興感染症や、デング熱等の蚊媒介感染症の再流行が世界各地で深刻化している。その解決には、感染症の原因となるウイルスを常に監視できるサーベイランス体制の強化が不可欠だという。

 今回のMOUにより、ドローンを活用した喫緊の感染症対策や農村部の公衆衛生レベルの向上を達成するため、幅広い領域でIPDと協力する。

 SORA Technologyは、すでに提供している「SORA Malaria Control」(自社開発の固定翼ドローンによる空撮データと複数のAI技術を組み合わせることにより、マラリア媒介蚊のボウフラが繁殖するリスクの高い水たまりを効率的に発見し、管理するソリューション)をはじめ、空から得られるデータを活用して、その他の蚊媒介感染症に対するサーベイランス体制を構築するとしている。

 またドローン配送の仕組みを強化することで、農村部の医療アクセスの改善、検体の輸送にかかる時間の大幅削減、都市部の研究機関における迅速な解析を可能にし、感染症リスクの可視化や新規病原体の早期検出を図る。

 ドローンを駆使した空のインフラ強化により、農村部における公衆衛生を向上させるとともに、そのオペレーションを通して蓄積されたドローンやデジタル技術に関するノウハウを現地に還元し、人材育成や新たな産業の創出につなげるとしている。

各者コメント

IPD 疫学・臨床研究データサイエンス部長 シェイク・ルクーバル博士

 ドローンの活用は、環境データの質(環境監視のための画像解像度)の向上や、収集可能なデータの種類(気候パラメータなど)の増加にも大きく寄与することでしょう。

SORA Technology Vice CEO 梅田昌季氏

 ドローンを活用した様々なソリューションを提供することで、IPDのパートナーとして、将来的な感染症の予防に貢献できることを嬉しく思います。SORA Technologyは、日本で培った技術とパートナーシップを活かし、セネガルにおける公衆衛生のデジタル化を加速させるための包括的なサポートを行なっていきます。