2023年2月15日、ACESとJFEエンジニアリング(以下、JFEE)は、共同で開発を行ってきた自動配筋検査AIシステムのアプリケーション開発および検証が完了したことを発表した。また現場での実用化に向け、東関道武田川橋での試行を実施した。
従来の出来形検査(※1)は、現場への負担が高く、持続性に課題があった。
※1 工事の目的物の完成した部分、工事施工が完了した部分の検査。
<現場の負担>
・ 作業者に加えて立会人を必要とするため、絶対的な人数を要する
・ 煩雑な撮影作業、帳票の手入力により労力を要する
・ 各種データがアナログ管理されデータの有効活用・参照が困難
また、従来方法ではサンプリングした一部区間でのみの検査を実施しており、その他の区間ではより効率的な面的な検査が検討されている。
そこで、両社は出来型検査の自動、省力化・高度化を目的として、橋梁上部工を対象にAIをはじめとするデジタル技術とドローン技術を活用した自動配筋検査システムの開発を行った。
ACESでは、多くの⼈員を要する配筋検査における鉄筋径、鉄筋本数、鉄筋間隔、継手長の計測を、画像認識技術により⾃動化するアルゴリズムを開発してきた。同アルゴリズムを応用し、現場での実用を目指した自動配筋検査AIシステムの開発をJFEEと実施。ドローンと単眼カメラを⽤いて真上から画像取得を⾏い、画像認識アルゴリズムを⽤いて鉄筋を認識し、認識された鉄筋の間隔と本数を測定して帳簿を自動出力するシステムを設計した。
同システムを通じて自動・省力化を推進し、現場への高い負担を低減、作業効率化を促進する。また、検査範囲を橋梁全域に拡張することで、より信頼性の高い検査を実現すると同時に、デジタル化によるデータの利活用を促進するとしている。
<自動・省力化>
・デジタル技術による遠隔臨場(※2)によりオンラインによる状況確認を実現し、現場作業人数を削減
・ドローンの自動航行×AIによる自動帳票作成により人の作業を効率化する
※2 ウェアラブルカメラやネットワークカメラを活用し、直接現場に行かず離れた場所から臨場を行うこと。
<高度化>
・検査範囲を橋梁全域にまで拡張することで、より信頼性の高い検査を実現する
・デジタル化によるデータの利活用の促進(データの資産化)
また、現場での実用化に向け、2022年11月末に東関道武田川橋の現場でのアプリケーションの試行を行い、正常に作動することを確認した。これを踏まえ、現場での本格適用を2023年度から行うとしている。